
フランスでビットコインの国家備蓄を創設する法案が提出。デジタルユーロの禁止も盛り込まれ、欧州金融主権の方向性に注目が集まっている。
フランスの中道右派政党「共和国のための右派連合(UDR)」は28日、仮想通貨に関する包括的な法案を議会に提出した。
この法案はエリック・シオッティ議員が主導し、ビットコイン(BTC)を「デジタルゴールド」として国家備蓄の対象にすることを目的としている。
フランス政府が総供給量の最大2%、約42万BTCを今後7〜8年で取得する計画を掲げた。
目次
公共機関によるBTC備蓄とマイニング事業
報道によると、法案ではフランスの金・外貨保有と同様の構造を持つ公共行政機関(EPA)を新設し、ビットコイン備蓄の管理を担う。
資金源には原子力および水力発電の余剰エネルギーを活用した公的マイニング事業が含まれ、国内マイナーには税制優遇措置が適用される見通しだ。
「国家備蓄としてのBTC導入は、金融主権を守るための戦略的手段だ」──エリック・シオッティ議員
フランスでは7月にも、余剰電力をビットコインマイニングに転用する提案がなされており、今回の法案はその発展形といえる。
市民参加型のBTC購入モデルも導入へ
新法案では、政府が法的手続きで押収した仮想通貨を保持できるようにし、リブレAやLDDSなどの人気貯蓄制度を通じて集められた資金の4分の1を日次ビットコイン購入に充てる計画を提示。
これは1日約1,500万ユーロ(年間約5万5,000BTC)に相当する。
憲法承認後には、特定税のビットコイン支払いも可能になる見込みだ。
- 国家が最大2%(約42万BTC)のビットコインを備蓄
- 原子力・水力発電を活用した公的マイニング事業
- 市民貯蓄制度(リブレAなど)から日次BTC購入
- 押収仮想通貨の保持を合法化
「デジタルユーロ禁止」条項とステーブルコイン推進
シオッティ議員は、欧州中央銀行(ECB)発行のデジタルユーロ(CBDC)を禁止し、代わりに「ユーロステーブルコインの普及と民間暗号資産投資の促進」を提案。
これは、米国がCBDCを禁止し「ジーニアス法(Genius Act)」でステーブルコインを支援した動きを参照したものだ。
「デジタルユーロは国家統制的な中央化の象徴だ。我々は個人の自由と市場競争を守る」──エリック・シオッティ議員
政治的背景と影響
法案を提出したUDR党は、フランス国民議会の577議席中16議席を保有する少数政党ながら、保守派層を中心に影響力を持つ。
この提案はEU内でも注目を集めており、今後の議論次第では欧州全体のデジタル通貨政策にも波及する可能性がある。








