
- ビットコインが9万2000ドル台に反発した経緯
- バンク・オブ・アメリカのビットコインETF推奨の詳細
- 機関投資家の参入が相場に与える影響
- 12月FOMCでの利下げ見通しと今後の展開
- ビットコインの最新相場動向を知りたい方
- 機関投資家の動向に注目している投資家
- 年末に向けた相場展開を予測したい方
目次
わずか数日で8000ドル超の急反発―その裏にある「歴史的転換」
ビットコイン相場に大きな変化が訪れています。11月末に8万4000ドル台まで急落していた価格が、12月3日には9万2000ドルまで急反発しました。わずか数日で8000ドル以上、率にして約9.5%もの上昇です。
出典: Bloomberg
この急激な反発の背景にあるのが、米国の伝統的金融機関による「歴史的な方針転換」です。特に注目すべきは、米大手銀行バンク・オブ・アメリカの動きです。
中期(1〜3ヶ月): 中立〜やや強気。機関マネー流入が本格化すれば10万ドル超も視野。
長期(3ヶ月以上): 強気。伝統的金融機関の姿勢転換は構造的な追い風。
ビットコイン相場の現状―市場に何が起きているのか
12月3日、ビットコインは前日比約8.5%高となる9万2000ドルまで急伸しました。取引量は78億ドルを超え、過去1カ月で最も活発な取引を記録しています。
また、暗号資産市場全体の時価総額も1兆7900億ドルに達し、日次で5%増加するなど広範な上昇が見られました。これは単なるビットコインだけの現象ではなく、市場全体に資金が流入していることを示しています。
- 取引量: 78億ドル超(過去1カ月で最高)
- 市場時価総額: 1兆7900億ドル(日次5%増)
- 清算されたショートポジション: 3億ドル以上
- 市場センチメント: 「極度の恐怖」→「恐怖」へ改善
直近の急落では、約10億ドル相当のレバレッジ取引のポジションが清算される事態となっていました。しかし今回の反発により、ショートポジションも3億ドル以上が消滅しています。
市場センチメントも「極度の恐怖」から「恐怖」へと改善されており、投資家心理の回復が見られます。
バンク・オブ・アメリカが方針転換―何が変わったのか
今回の価格急伸の最も重要な触媒となったのが、米大手銀行バンク・オブ・アメリカによる歴史的な方針転換です。
出典: ビットタイムズ
同行は12月2日、富裕層向けウェルスマネジメント顧客のポートフォリオに対し、最大4%をビットコインなどの仮想通貨で保有することを推奨する方針を発表しました。
これは約1万5000人のウェルスマネジメントアドバイザーに対する大規模な方針変更となります。つまり、数千億円規模の資金がビットコイン市場に流入する可能性が開かれたということです。
- ビットワイズBITB
- フィデリティFBTC
- グレースケール・ビットコイン・ミニ・トラスト
- ブラックロックIBIT
バンク・オブ・アメリカはこれまで、顧客主導でなければビットコインについて議論すら禁じられていたファイアウォールが存在していました。今回の決定でこれが撤廃されたのです。
同行のプライベートバンク部門のChris Hyzy氏は、この方針を「規制されたETFを通じたテーマ別イノベーション投資」と位置づけています。ボラティリティ耐性の高い投資家向けの控えめなアロケーションとして説明していますが、その影響は決して小さくありません。
なぜ今、方針転換なのか―3つの理由
バンク・オブ・アメリカが長年の慎重姿勢を転換した背景には、明確な理由があります。
理由①:ビットコイン現物ETFの実績
ブラックロックのIBIT単独で700億ドルを超える資金流入を記録しました。これは市場のボラティリティ耐性が実証されたことを意味します。
「投機的すぎる」と敬遠されてきたビットコインが、実は機関投資家の資金を安定的に受け入れられることが証明されたのです。
理由②:規制環境の整備
2024年1月に米SECがビットコイン現物ETFを承認して以降、規制の枠組みが明確になりました。金融機関にとって「コンプライアンス上の懸念」という大きな障壁が取り除かれたことになります。
理由③:他社の動きへの追随
同時期に、米資産運用大手バンガードも仮想通貨ETFや投資信託の取引を証券仲介サービスで解禁する方針を決定しています。
出典: ビットタイムズ
伝統的金融機関の姿勢が大きく変わりつつあることが明確になっています。5000万超のクライアントにアクセスを開放する決定は、機関マネー流入の本格化を印象づけるものです。
12月FOMCが相場の分岐点に―注目すべき3つのポイント
今後の相場展開において、12月9〜10日に開催される米連邦準備制度理事会(FRB)の会合が重要な分岐点となります。
出典: ビットタイムズ
市場は0.25%の利下げを80%超の確率で織り込んでいます。これが実現すればリスク資産には追い風となりますが、据え置きとなれば新たな売り圧力を誘発する可能性があります。
暗号資産アナリストのアリ・マルティネス氏は、市場価値から実現価値への極端な偏差バンドに基づき、ビットコインの重要な抵抗レベルを以下のように設定しています:
- 第一抵抗線: 9万9070ドル
- 第二抵抗線: 12万2060ドル
これらの価格帯は、MVRV比率の過去最高平均からの統計的偏差を用いて、市場の高値と安値の可能性を特定したものです。
市場には慎重な見方も―コインベースのレポートが示す懸念
一方で、市場には慎重な見方も存在します。米大手暗号資産取引所コインベースは、11月の急落局面を分析したレポートで市場の脆弱性を指摘しています。
個人・機関投資家ともに買い支えが弱く、主要なテクニカル指標とオンチェーンの支持線が相次いで崩れました。その結果、相場は明確な下値支持帯を失ったとしています。
ビットコイン価格は現在、以下の重要な水準を下回っています:
- 200日移動平均線
- 短期保有者の平均取得コスト
- 「75%利益」ライン(全供給量の25%が含み損となる水準)
これは、直近購入者の多くが含み損を抱えて投げ売りのリスクが高まっている状況を示しています。
コインベースは、出来高を伴う明確な価格水準の回復や、ビットコイン現物ETF・ステーブルコイン市場への資金流入が確認できるまで安易な押し目買いを控える戦略が有効だと述べています。
ただし、マネーマーケットファンドなどの待機資金が依然高水準にあり、市況が安定すれば規制されたビットコイン商品に流入する可能性があるとの見解も示しています。
相場は「買い」か「売り」か―プロ目線での投資判断
現在の相場は、短期的には慎重な見方が必要な局面と言えます。
テクニカル面では重要な支持線を複数下抜けており、9万2000ドル台への反発は一時的なリバウンドに留まる可能性もあります。
オンチェーン分析会社のSantimentは、ビットコインの反発によりリテール投資家の議論が恐怖から強欲に変わったと指摘しています。「群衆が非常に強欲な場合、それは市場が下落する可能性を示している」と警告しています。
一方で、中長期的には機関投資家の参入という大きな変化が起きています。バンク・オブ・アメリカやバンガードといった伝統的金融機関の方針転換は、ビットコイン市場の成熟と正当性の高まりを示すものです。
12月のFOMCで利下げが実現し、待機資金が市場に流入すれば、年末に向けて10万ドル台を回復する可能性は十分にあります。
中期(1〜3ヶ月): 中立〜やや強気。機関投資家の参入が本格化すれば、10万ドル超への回復も視野に。
長期(3ヶ月以上): 強気。伝統的金融機関の姿勢転換は構造的な追い風。2026年に向けた上昇サイクルの可能性。
もっと詳しく知りたい方へ
まとめ
ビットコインは11月末の急落から反発し、9万2000ドル台を回復しました。この動きの背景には、バンク・オブ・アメリカによる歴史的な方針転換があります。
同行が富裕層顧客に対してビットコインETFへの最大4%の配分を推奨し始めたことは、伝統的金融機関の姿勢が大きく変わりつつあることを示しています。バンガードも同様の動きを見せており、機関マネーの本格流入が現実のものとなりつつあります。
短期的にはテクニカル面での脆弱性や、12月FOMCの結果待ちという不確実性が残ります。しかし中長期的には、機関投資家の本格参入という構造的な追い風が吹いています。
投資家は、短期の価格変動に一喜一憂せず、市場の構造変化という大きな流れを捉えることが重要です。特に「伝統的金融機関がビットコインを正式に推奨し始めた」という事実は、2024年から2025年にかけての最も重要な変化の一つと言えるでしょう。








