
- ブラックロックのIBITから1日で5.2億ドル流出
- IBIT設立以来最大の流出規模
- 11月の流出総額は12億6,000万ドルに達する
- 機関投資家の利益確定とビットコイン・トレジャリー企業の警戒感が背景
米資産運用大手ブラックロックの主力ビットコイン上場投資信託(ETF)「IBIT」から、2025年11月19日に約5億2,300万ドル(約820億円)の資金が流出したことが、ファーサイド・インベスターズのデータで判明しました。1日の流出規模としては、IBIT設立以来最大となります。
目次
IBIT設立以来最大の流出
Reuters報道によると、IBITの運用資産額は730億ドル超と、現物ビットコインETFでは最も多い規模を誇ります。しかし、ビットコインが10月に過去最高値を更新した後で急速な調整が進み、今週は9万ドルを割り込んで7カ月ぶりの安値に沈んだことが、資金流出の背景にあります。
- 11月19日の流出:5億2,300万ドル(約820億円)
- 11月の累計流出:12億6,000万ドル(約1,980億円)
- 運用資産額:730億ドル超(現物ビットコインETF最大)
- 価格下落率:16%(11月)
11月の累計流出は12億6,000万ドル
CoinDesk Japanの報道によると、IBITは11月に12億6,000万ドル(約1,980億円)という過去最大の純流出を記録しています。2024年1月の上場以来、IBITはほぼ一貫して純流入超過を続けてきましたが、2025年11月は月次ベースで初めて10億ドル超の純流出を記録しました。
2024年1月の上場以来、ほぼ一貫して純流入超過を続けてきたが、11月は初めて10億ドル超の純流出を記録。
Bloomberg報道によると、米上場12本のビットコインETF全体では、11月に合計30億ドル(約4,710億円)の流出となっています。
ビットコインETF全体で過去最大の流出
Bloombergのデータによると、11月18日にはビットコインETF全体で過去最大となる5億ドル超の資金流出が発生しました。IBITだけで約820億円の純流出を記録しています。
- 11月の累計流出:30億ドル(約4,710億円)
- IBITの11月流出:12億6,000万ドル(約1,980億円)
- フィデリティのFBTCも大規模流出
機関投資家の利益確定が加速
クラーケンのグローバル・エコノミスト、トーマス・パーヒュモ氏は次のように指摘しています。
仮想通貨市場の勢いは夏場にピークアウトしたようにみえるが、実際にはその数カ月前から足取りの重さが始まっていた。
複数のアナリストは、長期的な投資家による利益確定の動きや、ビットコインを財務資産として大量保有する「ビットコイン・トレジャリー企業」の間で警戒感が増している点に言及しています。
ビットコイン・トレジャリー企業の警戒感
シーバート・ファイナンシャルの調査アナリスト、ブライアン・ビーテン氏は次のように述べています。
ビットコイン・トレジャリー企業は過去1年で500億ドル弱相当のビットコインを購入してきた。最近これらの多くの企業は実勢より低い価格、ないしは純資産価格で取引を始めており、新規購入への期待に水が差されている。
ブラックロックのIBITから1日で過去最大の5.2億ドルが流出したことは、機関投資家のセンチメント悪化を示す重要なシグナルです。2024年1月の上場以来、ほぼ一貫して純流入超過を続けてきたIBITが、11月に初めて10億ドル超の純流出を記録したことは、市場の転換点を示唆しています。ビットコイン・トレジャリー企業の警戒感が高まる中、短期的にはさらなる流出が続く可能性があります。しかし、長期的な視点では、この調整局面が次の上昇に向けた健全な調整となる可能性もあります。
IBITの流出は、ビットコイン市場全体のセンチメント悪化を反映しています。機関投資家の動向を注視する必要があります。




