
インドのマドラス高等裁判所が、暗号資産を法的に「財産」と認める歴史的判決を下した。
インドのマドラス高等裁判所は、暗号資産取引所WazirXをめぐる裁判で、暗号資産は法的に保有可能な「財産」であるとの判断を示した。
この判決は、同国における暗号資産の法的地位を大きく変える歴史的な一歩とされている。
目次
ハッキング被害と再建計画をめぐる訴訟
今回の裁判は、WazirXの顧客であるRhutikumari氏が、同取引所による3,532.30リップル(XRP)の再配分を差し止めるよう求めた訴えから始まった。
WazirXはハッキング被害後、シンガポール高等裁判所の監督下で再建手続きを進めており、全ユーザーに損失を分担させる計画を発表していた。
「暗号資産は投機的取引とは見なされず、享受・所有・信託での保有が可能な財産である」──N・アナンド・ヴェンカテシュ判事
暗号資産を「仮想デジタル資産」として認定
ヴェンカテシュ判事は、暗号資産はインド所得税法上の「仮想デジタル資産(Virtual Digital Asset)」に該当すると明言。
その上で、「暗号資産は実際の経済的価値を持ち、法的財産として保有できる」とし、単なる投機目的の対象ではないとの立場を示した。
管轄権争いにも明確な判断
WazirX側は、「仲裁地はシンガポールであり、インドの裁判所には管轄権がない」と主張した。
しかし裁判所は、顧客がインド国内から資金を送金し、同国内で取引を行っていた事実を重視。
結果としてこの主張を退け、国外企業であっても国内利用者の資産はインド法の保護を受けるとする判断を下した。
- 暗号資産を初めて「法的財産」として認定
- 海外再建手続き中の企業にもインド司法が及ぶことを明確化
- インドの暗号資産市場における投資家保護の新たな基準を提示
インド市場における法的整備の進展
今回の判決は、インド政府が進める暗号資産規制整備の流れとも連動しており、デジタル経済の信頼性向上につながるとみられている。
専門家の間では、「司法による明確な定義づけが、暗号資産業界の発展を後押しする」との見方も強い。








