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量的引き締め終了を示唆も、市場は静観
米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は14日、長期にわたって続く量的引き締め(QT)政策の終了が近い可能性を示唆した。しかし、暗号資産(仮想通貨)市場はこれに大きく反応せず、ビットコイン(BTC)は横ばい推移を続けた。
パウエル議長は、フィラデルフィアで開催された全米企業エコノミスト協会(NABE)の講演で「我々の計画は、準備金が十分と判断される水準を少し上回る段階で資金流出を停止すること」と発言した。
2022年に始まったQT政策により、FRBのバランスシートは9兆ドルから6兆6,000億ドルへと縮小。これまでの流動性吸収を振り返りつつ、今後数カ月でプログラム停止の判断を下す可能性を示唆した。
QT終了でもBTC市場は冷静
通常、金融緩和や流動性供給の兆候はリスク資産にとって追い風となるが、ビットコインはこれに反応せず、記事執筆時点で11万3,000ドル前後を推移。過去24時間では価格変動はほとんど見られなかった。
「QT終了の示唆は、金融市場全体にとってはハト派的だが、暗号資産市場においてはサプライズにはならなかった」──市場アナリスト
デリバティブ市場では引き続き弱気センチメントが優勢で、Deribit上のBTCオプションではプット(売る権利)がコール(買う権利)より高いプレミアムを維持している。
量的引き締めはすでに減速
FRBは2024年半ば以降、QTのペースを大幅に鈍化させており、国債償還の月間上限を50億ドル、住宅ローン担保証券を350億ドルに設定。QT終了が近いことは「驚きではない」との見方が強い。
匿名の市場観測者Markets and Mayhem氏はXで、「QTプログラムがまもなく終了する可能性が高いが、現在の縮小ペースは非常に小さく、市場への影響は限定的」と指摘した。
マクロ環境の変化に慎重姿勢
市場では、年末までにFRBが2回の25bp利下げを実施するとの見方もあり、金融環境の緩和期待は高まっている。しかし、暗号資産市場では依然として慎重なトーンが支配的だ。