
2025年11月17日、ビットコインは一時9万3,000ドルを下回り、約7カ月ぶりの安値を記録しました。10月6日の過去最高値約12万6,000ドルから約25%の下落です。
しかし、米投資銀行バーンスタインのアナリストは、この下落を「大幅な下落の始まりではなく短期的な調整」と分析しています。
- バーンスタインが「25%下落は浅い調整」と分析する理由
- 機関投資家のBTC ETF保有率が28%に上昇した意味
- 過去のサイクルとの違い:60-70%下落ではなく浅い調整
- 新規投資家14.8万BTC損切りの背景と市場心理
目次
25%下落は「浅い調整」:過去との決定的な違い
バーンスタインは、今回の下落が歴史的な4年サイクルパターンをめぐる投資家の不安を反映していると指摘します。2013年、2017年、2021年にピークを迎えたパターンから、多くの投資家が2025年も同様になるとの信念で先行的に売却しているというのです。
しかし、アナリストは現在の背景は根本的により強固だと主張しています。
証拠は過去のサイクルで見られた60%から70%の下落ではなく、比較的浅い調整から新たなローカルボトムへ向かっていることを示している
機関投資家の保有率が28%に上昇:質の高い保有者
バーンスタインが強気姿勢を維持する最大の理由は、機関投資家によるETF保有率の増加です。
ビットコインETFの機関投資家保有率は、2024年末の20%から現在28%に上昇。過去3週間で30億ドルの流出があったにもかかわらず、ETFの運用資産総額は1,250億ドルに達しました。
アナリストは、この変化が「より高品質で一貫した保有」を反映しており、より深い売却の可能性を減少させていると主張しています。
機関投資家は個人投資家と比べて:
- 長期投資視点を持つ
- 短期変動に動揺しない
- デューデリジェンスを経た投資判断
長期保有者の供給吸収:340億ドルのバランス
バーンスタインの分析によると、過去6カ月間で長期保有者(1年以上保有)が売却した約34万BTC(約380億ドル)は、現物ETFと企業財務への約340億ドルの流入によってほぼ吸収されたといいます。
これは、売り圧力が新しい買い手によって適切に受け止められていることを示しています。
新規投資家14.8万BTC損切り:市場心理の実態
一方で、今回の下落には新規投資家による大規模なパニック売りも影響しています。
クリプトクアントのアナリストによると、100万BTC未満を保有する投資家が14万8,241BTCを約9万6,853ドルで売却していました。これは平均購入価格10万2,000ドルから10万7,000ドルをはるかに下回る水準で、大規模な損切りとなりました。
同氏は、これらの投資家が初めての大きな下落に直面し、さらなる下落リスクを回避するため損失を確定させることを選択したと分析しています。
これは典型的な「狼狽売り」のパターンです。
構造的追い風は健在:政治・流動性・法制化
バーンスタインは、構造的な追い風は引き続き健在だとも述べています。
- 政治的支持:トランプ政権下での戦略的優先事項としての仮想通貨への強力な支持
- 法制化期待:2025年後半から2026年初頭までにクラリティ法の市場構造法制化が進むとの期待
- 流動性環境:金利低下に伴う好ましい流動性環境
BTCマーケッツのアナリスト、レイチェル・ルーカス氏も次のように指摘しています:
テクニカル的にはベア市場に入っているが、文脈が重要だ。前回のサイクルでは2021年11月のサイクル高値への上昇前に55%の下落もあった。このベアフェーズの終わりに近づいている可能性が高い
まとめ:機関投資家の視点で市場を見る
今回の25%下落は、新規投資家にとってはパニックを引き起こす出来事でしたが、機関投資家の視点では「浅い調整」に過ぎません。
短期的な価格変動に惑わされず、機関投資家の動向と構造的要因に注目することが、市場を正しく理解する鍵となります。
- 過去のサイクル:60-70%の大幅下落
- 今回のサイクル:25%の浅い調整
- 機関保有率:20% → 28%に上昇
- 構造的追い風:政治・法制化・流動性








