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「ビットコインが底を打った」というニュースを聞いて、あなたは安心したか──
しかし、週間ETF流出が初のプラス転換を記録した一方で、11月全体では過去最大の37.9億ドル流出という現実が残る。
2025年11月第5週(11月24日〜30日)の暗号資産市場は、底打ち反発のシグナルと根深い売り圧力の名残という、相反する2つの顔を見せた。
目次
📅 注目ニュース一覧
- ✅ ビットコインが底打ち反発──7ヶ月ぶり安値8万600ドルから9万ドル台に回復
- ✅ 週間ETF流入が初のプラス転換──10月以来初の純流入を達成、BTCからETHへの資金シフトが加速
- ⚠️ 11月ETF流出は過去最大──月間37.9億ドル流出、2月以来の大量資金離脱
- ✅ Coinbase Premiumがプラス転換──数週間ぶりに米国での買いシグナル、市場底打ちの兆候
- ✅ アーサー・ヘイズが年末25万ドル予測維持──8万600ドルを底値と判断
- ⚠️ 金融庁が暗号資産規制を最終報告──金商法適用で税率55% → 20%への道筋、2026年国会提出へ
- 📰 中国のビットコイン採掘が復活──禁止から4年、世界シェア第3位に返り咲き
- 短期(1週間): 6/10点 ⚠️
- 中期(1〜3ヶ月): 8/10点 ✅
- 長期(6ヶ月〜1年): 9/10点 💎
短期: 底打ち反発の兆候はあるものの、11月全体のETF流出37.9億ドルという売り圧力の名残が市場に重くのしかかる。短期的には慎重姿勢が必要。
中期: 週間ETF流入のプラス転換、Coinbase Premiumの回復、金融庁の税率20%への道筋など、中期的な好材料が揃い始めている。1〜3ヶ月スパンでは絶好の仕込み場。
長期: 金商法適用による制度的成熟、アーサー・ヘイズの年末25万ドル予測、機関投資家の長期保有姿勢など、長期投資家にとっては歴史的な買い場である。
📰 注目ニュース① ビットコイン、7ヶ月ぶり安値から9万ドル台に反発
■ 底打ちの兆候
2025年11月25日、ビットコインは8万8,000ドル近辺で推移し、7ヶ月ぶりの安値を付けた急落から持ち直した。
Bloomberg報道によれば、直前の下落局面では大量のロスカット(強制清算)が発生し、暗号資産市場に恐怖が広がっていた。
しかし、週末にかけて買い圧力が徐々に回復し、11月27日には9万ドルを突破。
11月30日時点では9万418ドルで推移しており、底打ちシグナルが明確になりつつある。
- 11月22日: 8万600ドル(7ヶ月ぶり安値)
- 11月25日: 8万8,000ドル近辺で底堅く推移
- 11月27日: 9万ドル突破
- 11月30日: 9万418ドル
反発率: 約+12%(8万600ドル → 9万418ドル)
■ Coinbase Premiumがプラス転換
最も重要なシグナルは、Coinbase Premium Indexがプラス転換したことだ。
1ヶ月近くマイナスだったこの指標がプラスに転じたことで、米国市場での買いが再開したことが明確になった。
Coinbase Premiumとは、米Coinbaseのビットコイン価格が他取引所より高い状態を示す指標で、米国の機関投資家や個人投資家の買い意欲を示す重要なサインとされる。
- プラス: 米国市場で買い圧力が強い(強気シグナル)
- マイナス: 米国市場で売り圧力が強い(弱気シグナル)
今週のプラス転換は、米国投資家の買い意欲が回復し、底打ちが近いことを示唆している。
📰 注目ニュース② 週間ETF流入が10月以来初のプラス転換、BTCからETHへシフト
■ 10月以来初の純流入
2025年11月第5週、ビットコインとイーサリアムの現物ETFが10月以来初となる週間純流入を達成した。
Crypto News報道によれば、これは市場回復の重要なシグナルであり、機関投資家の買い意欲が戻りつつあることを示している。
特に注目すべきは、ビットコインETFからイーサリアムETFへの資金シフトが加速していることだ。
Monex証券の分析によれば、ソラナやXRPなどの新規上場アルトコインETFにも連日資金が流入しており、投資家のリスク選好が復活している。
- ビットコイン現物ETF: プラス転換(具体額は未公表)
- イーサリアム現物ETF: プラス転換、BTC→ETHの資金シフト
- アルトコインETF(ソラナ・XRP等): 連日流入
この動きは、機関投資家がビットコイン一辺倒から分散投資へシフトしていることを示している。
■ 11月全体では過去最大37.9億ドル流出
しかし、週間でプラス転換したものの、11月全体では依然として過去最大の売り圧力が記録されている。
Yahoo Newsの報道によれば、米国上場11本のビットコイン現物ETFから、11月全体で37.9億ドル(約5,874億円)が流出した。
これは2025年2月の11.4億ドル流出を大きく上回る、過去最大規模の資金離脱である。
- 11月18日: 5億ドル超の流出(1日としては過去最大級)
- 11月19日: ブラックロックIBIT単体で約820億円流出
- 11月20日: 9億ドル(約1,395億円)流出
- 11月全体: 37.9億ドル(約5,874億円)流出
この記録的な流出は、2025年に参入した機関投資家の大半が初めて含み損状態に陥ったことによる、パニック的な売りが原因とされる。
📰 注目ニュース③ アーサー・ヘイズ、年末25万ドル予測を維持──8万600ドルを底値と判断
■ 強気予測を変えず
元BitMEX CEOのアーサー・ヘイズ氏は、先週のビットコイン8.2万ドル台への下落を底値と予測しており、その後約12%反発して9.2万ドル台まで回復した展開がこの見方を裏付けている。
CoinPost報道によれば、ヘイズ氏は年末までにビットコインが25万ドルに達するという予測を維持しており、現在の調整は「健全な押し目」と評価している。
アーサー・ヘイズ氏の見解:
- 底値: 8万600ドル(11月22日)
- 年末予測: 25万ドル
- 理由: 機関投資家の長期保有姿勢、金融政策の緩和継続、ビットコイン半減期後のサイクル継続
■ 8万600ドルが重要なサポートライン
ヘイズ氏の予測が的中すれば、8万600ドルが今回の調整局面における最重要サポートラインとなる。
この水準を再び下回らない限り、強気トレンドは継続すると考えられる。
- 強気継続の条件: 8万600ドルを下回らない
- 中期目標: 12万ドル(10月高値)
- 年末目標: 25万ドル(ヘイズ氏予測)
📰 注目ニュース④ 金融庁が暗号資産規制を最終報告──金商法適用で税率20%への道筋
■ 2026年国会提出へ
2025年11月26日、金融庁は金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ(WG)」の第6回会合を開催し、暗号資産を金融商品取引法(金商法)の対象とする報告書案を了承した。
日本経済新聞の報道によれば、新たに105銘柄が金商法適用の対象となり、インサイダー取引規制や課徴金制度が導入される。
金融庁は報告書案を基に、金商法改正案を2026年の通常国会へ提出する見通しだ。
- 対象銘柄: 105銘柄(交換業者が取り扱う主要銘柄)
- 新規制: インサイダー取引規制、課徴金制度
- 情報開示義務: 発行体・取引所への厳格な開示要求
- 税率: 現行の最大55%から20%へ引き下げを検討
- 施行時期: 2026年通常国会提出、成立後施行
この改正により、暗号資産は「決済手段」から「金融商品」へ再分類される。
■ 税率20%への道筋
最も重要なのは、税率引き下げの検討が明確化されたことだ。
現在、暗号資産の利益は「雑所得」として課税され、最大税率は55%(所得税45% + 住民税10%)に達する。
しかし、金商法適用により「譲渡所得」として20%の分離課税が適用される可能性が高まっている。
- 個人投資家: 利確のハードルが大幅に下がる → 市場流動性向上
- 機関投資家: 日本政府の正式承認 → 参入加速
- 暗号資産業界: 制度的成熟 → 海外投資家の信頼獲得
ただし、税率20%が実現するのは早くても2027年度以降と見られる。
📰 その他の注目トピック
- 🇨🇳 中国のビットコイン採掘が復活──4年前に禁止されたマイニング活動が静かに復活し、世界シェア第3位に(Reuters)
- 📊 イーサリアムが2,900ドル割れ──ビットコインに連れ安、一時2,600ドル台まで下落(SBI証券)
- 💼 ソラナ・XRP ETFに資金流入継続──新規上場アルトコインETFが好調、投資家の分散投資志向が鮮明に(Monex証券)
- 📈 XRP価格が一時急騰──ETF上場期待で3.65ドル突破も、その後調整(CoinDesk Japan)
🧠 ビットコイン予備校の視点
2025年11月第5週の暗号資産市場は、「底打ち反発のシグナル」と「根深い売り圧力の名残」という、相反する2つの顔を見せた。
短期的には慎重姿勢が必要だ。
週間ETF流入がプラス転換したものの、11月全体では過去最大の37.9億ドル流出という現実が残る。
機関投資家の含み損パニックが完全に収束したとは言えず、短期的な戻り売り圧力には警戒が必要だ。
しかし、中長期的には歴史的な買い場である。
以下の3つの理由から、1〜3ヶ月、6ヶ月〜1年のスパンで見れば、現在は絶好の仕込み場と判断できる。
理由① 底打ちシグナルが明確化
- アーサー・ヘイズが8万600ドルを底値と判断
- Coinbase Premiumがプラス転換 → 米国市場で買いシグナル
- 週間ETF流入がプラス転換 → 機関投資家の買い意欲回復
理由② 金商法適用で制度的成熟
- 税率55% → 20%への道筋が明確化
- インサイダー取引規制・課徴金制度で投資家保護強化
- 2026年国会提出 → 2027年度施行の可能性
理由③ 機関投資家の長期保有姿勢
- ETH・ソラナ・XRPなどへの資金シフト → 分散投資が進行
- アーサー・ヘイズの年末25万ドル予測維持
- 中国マイニング復活など、市場の裾野が拡大
投資家への提言:
- 短期トレーダー: 8万600ドルを下限、9.5万ドルを上限とするレンジ取引を推奨
- 中期投資家: 現在の9万ドル台は絶好の仕込み場、分散・時間分散での買い増しを
- 長期投資家: 金商法適用による制度的成熟を見据え、保有継続を強く推奨
短期的なノイズに惑わされず、データと制度的な変化に基づいた冷静な判断が、次の上昇サイクルで成功するカギとなる。
📚 参照元
- ビットコインの売り圧力に緩和の兆し、急落後の底入れ期待広がる – Bloomberg
- Coinbase Premium Indexが数週間ぶりにプラスに – Yahoo Finance
- BTC・ETH現物ETF、週間純流入が回復 – Crypto News
- ビットコインETF、11月に過去最高の37億9000万ドルの流出を記録 – Yahoo News
- アーサー・ヘイズがビットコイン年末25万ドル予測維持 – CoinPost
- 仮想通貨を「金融商品」に 金融庁、有価証券並み厳格規制へ – 日本経済新聞
- 中国のビットコイン採掘が復活、世界シェアは第3位 – Reuters
- 暗号資産市場 週刊レポート(2025年11月20日〜11月26日) – SBI証券








