銀行による暗号資産投資解禁が正式に議題化──金融庁が金融審議会での検討を開始
金融庁、正式に「暗号資産投資解禁」を検討課題へ
金融庁は10月21日、あす開催される金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」に先立ち、事務局による説明資料を公表した。
今回の資料では、銀行による暗号資産(仮想通貨)の投資目的での取得・保有解禁および銀行グループの暗号資産交換業参入が正式な検討課題として取り上げられていることが明らかになった。
目次
銀行の暗号資産投資、事実上の禁止から転換へ
報道によると、現行の監督指針では銀行グループが投資目的で暗号資産を保有することは事実上禁止されていた。
しかし、今回の金融庁資料では「暗号資産が金融商品取引法の規制対象となることを踏まえ、制度改正の可能性を検討する」との記載があり、方針転換の兆しを示している。
「銀行による暗号資産投資を全面的に認めるものではなく、リスク管理体制を前提とした慎重な制度設計が必要」── 金融庁事務局資料より
制度改正の焦点:リスク管理と監督体制
金融庁は制度改正の前提として、銀行のリスク管理体制の整備、監督当局によるモニタリング強化を掲げている。
これにより、暗号資産のボラティリティ(価格変動リスク)が銀行の財務健全性に影響を与えない仕組みの構築が求められる見込みだ。
今後の検討ポイント
- 銀行が保有可能な暗号資産の範囲と上限設定
- リスク資産としての評価方法
- 監査・報告義務の明確化
- 暗号資産交換業登録制度との整合性
交換業参入も「慎重な検討が必要」
さらに、資料では銀行グループが暗号資産交換業者として登録することについても議題化。
ただし、「依然として慎重な検討が必要」と明記されており、監督上のハードルが依然高いことを示している。
今後の見通し
今回の議題化により、日本の銀行が暗号資産市場に直接関与する可能性が現実味を帯びてきた。
今後は、金融審議会での議論を経て、2026年以降の制度改正案提出に向けた具体的な動きが注目される。