
ブラックロックのビットコインETF「IBIT」から過去最大5.2億ドルの資金流出が話題となる中、そもそも「ビットコインETFとは何か?」を正しく理解している投資家は意外と少ないかもしれません。
本記事では、ビットコインETFの基本から日本での展望まで、5つのポイントでわかりやすく解説します。
- ビットコインETFの基本的な仕組み
- 現物ETFと先物ETFの違い
- メリットとデメリット
- 日本での承認見通し
- 投資判断のポイント
目次
【ポイント1】ビットコインETFとは何か?
ビットコインETFとは、証券取引所に上場され、ビットコイン価格に連動する上場投資信託(Exchange Traded Fund)です。
- 証券取引所で株式と同様に売買可能
- ビットコイン価格に連動して値動き
- 実際のビットコインを保有する必要なし
- 証券口座から取引できる
従来、ビットコインに投資するには暗号資産取引所で口座を開設し、実際のビットコインを購入する必要がありました。しかし、ビットコインETFを利用すれば、証券口座から株式と同じように取引できるため、暗号資産取引の経験がない投資家でも参入しやすくなります。
【ポイント2】現物ETFと先物ETFの違い
ビットコインETFには「現物ETF」と「先物ETF」の2種類があります。
現物ETF:実際のビットコインを保有し、その価格に直接連動します。2024年1月に米国で初めて承認されたブラックロックの「IBIT」などが代表例です。
先物ETF:ビットコインの先物契約に投資し、将来の価格変動に連動します。米国では2021年から取引されています。
現物ETFは実際のビットコインを保有するため価格との乖離が少なく、先物ETFは先物市場の特性上、ロールコストなどが発生する可能性があります。
【ポイント3】ビットコインETFのメリット
- 証券口座で取引可能:新たに暗号資産取引所の口座を開設する必要なし
- プロによる保管管理:ETF運用会社が安全にビットコインを保管
- 税務処理の簡便さ:証券取引として処理できる(国により異なる)
- 機関投資家の参入障壁低下:規制された金融商品として投資可能
特に機関投資家にとって、ビットコインETFは規制された金融商品であるため、直接ビットコインを保有するよりもコンプライアンス上のハードルが低くなります。
【ポイント4】ビットコインETFのデメリット
- 取引時間の制限:証券取引所の営業時間内のみ(ビットコインは24時間365日取引可能)
- 管理手数料:ETFの運用には年率0.2〜0.95%程度の手数料が発生
- 送金不可:実際のビットコインとして送金や決済に利用できない
- 完全な所有権なし:ETFを通じた間接的な投資
ビットコインの本来の特性である「24時間取引」「自己保管」「送金・決済」といった機能を求める場合は、直接ビットコインを購入する方が適しています。
【ポイント5】日本でのビットコインETF承認見通し
日本では2025年11月現在、ビットコインETFはまだ承認されていません。しかし、複数の報道によれば、金融庁は2027年春頃の実現を想定しているとされています。
SBI証券の分析では、日本でのビットコインETF承認により、以下のような影響が予想されています。
日本の投資家にとって、証券口座を通じてビットコインに投資できる選択肢が増えることで、暗号資産市場への参入障壁が大幅に低下する可能性がある。
一方で、日本独自の規制枠組みや税制上の課題もあり、米国のETFとは異なる形で導入される可能性も指摘されています。
ビットコインETFは投資の「入口」を広げる重要な商品ですが、ビットコインの本質的な価値である「分散型」「自己主権」といった特性を理解した上で、自分の投資目的に合った選択をすることが重要です。ETFはあくまで投資手段の一つであり、ビットコインそのものとは異なる性質を持つことを忘れないでください。








