
2025年12月2日、米大手銀行バンク・オブ・アメリカがビットコインETFへの投資推奨を開始――これは伝統的金融機関の「歴史的な方針転換」として大きな話題となりました。一方で、11月にはブラックロックのビットコインETF「IBIT」から過去最大5.2億ドルの資金流出も報じられています。
流入と流出が交錯する今だからこそ、「ビットコインETFとは何か?」を正しく理解することが重要です。本記事では、ビットコインETFの基本から最新動向、日本での展望まで、5つのポイントでわかりやすく解説します。
- ビットコインETFの基本的な仕組み
- 現物ETFと先物ETFの違い
- 2025年12月時点での市場規模と最新動向
- メリットとデメリット
- 日本での承認見通しと投資判断のポイント
目次
【ポイント1】ビットコインETFとは何か?
ビットコインETFとは、証券取引所に上場され、ビットコイン価格に連動する上場投資信託(Exchange Traded Fund)です。
- 証券取引所で株式と同様に売買可能
- ビットコイン価格に連動して値動き
- 実際のビットコインを保有する必要なし
- 証券口座から取引できる
従来、ビットコインに投資するには暗号資産取引所で口座を開設し、実際のビットコインを購入する必要がありました。しかし、ビットコインETFを利用すれば、証券口座から株式と同じように取引できるため、暗号資産取引の経験がない投資家でも参入しやすくなります。
2024年1月の承認から約2年――市場は劇的に成長
2024年1月に米国証券取引委員会(SEC)が初めてビットコイン現物ETFを承認して以降、市場は驚異的な成長を遂げています。2025年12月時点で、ビットコインETF市場全体の運用資産額は1000億ドル(約15兆円)を超える規模に達しました。
- ブラックロック IBIT: 700億ドル超
- フィデリティ FBTC: 200億ドル超
- グレースケール GBTC: 150億ドル超(ミニトラスト含む)
- ビットワイズ BITB: 50億ドル超
特にブラックロックのIBITは、700億ドルを超える資金を集め、ETF史上最速級の成長を記録しています。これは金ETFが同規模に達するまでにかかった時間と比較して、圧倒的に短期間での達成です。
【ポイント2】現物ETFと先物ETFの違い
ビットコインETFには「現物ETF」と「先物ETF」の2種類があります。
現物ETF:実際のビットコインを保有し、その価格に直接連動します。2024年1月に米国で初めて承認されたブラックロックの「IBIT」などが代表例です。
先物ETF:ビットコインの先物契約に投資し、将来の価格変動に連動します。米国では2021年から取引されています。
現物ETFは実際のビットコインを保有するため価格との乖離が少なく、先物ETFは先物市場の特性上、ロールコストなどが発生する可能性があります。2024年以降、機関投資家の資金は圧倒的に現物ETFに流入しており、市場の主流となっています。
【ポイント3】ビットコインETFのメリット
- 証券口座で取引可能:新たに暗号資産取引所の口座を開設する必要なし
- プロによる保管管理:ETF運用会社が安全にビットコインを保管
- 税務処理の簡便さ:証券取引として処理できる(国により異なる)
- 機関投資家の参入障壁低下:規制された金融商品として投資可能
- セキュリティリスクの軽減:秘密鍵管理やハッキングリスクから解放
特に機関投資家にとって、ビットコインETFは規制された金融商品であるため、直接ビットコインを保有するよりもコンプライアンス上のハードルが低くなります。
2025年12月の歴史的転換――バンク・オブ・アメリカの推奨開始
2025年12月2日、米大手銀行バンク・オブ・アメリカが富裕層顧客に対してビットコインETFへの投資を推奨する方針を発表しました。同行はこれまで、顧客主導でなければビットコインについて議論すら禁じるファイアウォールを設けていましたが、今回の決定により約1万5000人のウェルスマネジメントアドバイザーが顧客にビットコインETFを推奨できるようになりました。
推奨されるETFは、ブラックロックのIBIT、フィデリティのFBTC、グレースケールのミニトラスト、ビットワイズのBITBの4本で、ポートフォリオの最大4%までの配分を推奨しています。
- バンク・オブ・アメリカ: 最大4%の配分を推奨開始
- バンガード: 仮想通貨ETF取引を解禁
- JPモルガン: ビットコイン取引サービスに参入
- ゴールドマン・サックス: カストディサービス提供
これらの動きは、ビットコインが「投機的資産」から「正当な投資対象」へと認識が変わりつつあることを示しています。
【ポイント4】ビットコインETFのデメリット
- 取引時間の制限:証券取引所の営業時間内のみ(ビットコインは24時間365日取引可能)
- 管理手数料:ETFの運用には年率0.2〜0.5%程度の手数料が発生
- 送金不可:実際のビットコインとして送金や決済に利用できない
- 完全な所有権なし:ETFを通じた間接的な投資
ビットコインの本来の特性である「24時間取引」「自己保管」「送金・決済」といった機能を求める場合は、直接ビットコインを購入する方が適しています。
「資金流出」報道の真実――実は健全な市場の証
2025年11月、ブラックロックのIBITから過去最大5.2億ドルの資金流出が報じられ、市場の懸念材料として取り上げられました。しかし、この動きは必ずしもネガティブではありません。
資金流出の主な理由は、長期保有者による利益確定です。ビットコインが10万ドル超の高値圏で推移する中、一部の投資家がリバランスのために売却したものです。これは市場が成熟している証拠でもあります。
重要なのは、短期的な流出があっても、新規の機関投資家による流入が継続していることです。バンク・オブ・アメリカやバンガードなど、これまで慎重だった伝統的金融機関が参入を表明しており、構造的な追い風は続いています。
【ポイント5】日本でのビットコインETF承認見通し
日本では2025年12月現在、ビットコインETFはまだ承認されていません。しかし、複数の報道によれば、金融庁は2027年春頃の実現を想定しているとされています。
SBI証券の分析では、日本でのビットコインETF承認により、以下のような影響が予想されています。
日本の投資家にとって、証券口座を通じてビットコインに投資できる選択肢が増えることで、暗号資産市場への参入障壁が大幅に低下する可能性がある。特に、証券会社の口座を持つ数千万人の投資家が潜在的な顧客となるため、市場へのインパクトは大きい。
一方で、日本独自の規制枠組みや税制上の課題もあり、米国のETFとは異なる形で導入される可能性も指摘されています。
日本での承認が実現すれば
金融庁は仮想通貨ETFの解禁を正式に要望しており、2026年度の税制改正に向けて動きがあると見られています。日本で承認されれば:
- 証券口座を持つ数千万人がビットコインに簡単にアクセス可能に
- 税制面で有利(雑所得55% → 譲渡所得20%の可能性)
- 損失の繰越控除(最長3年間)が可能に
- 個人投資家の裾野が一気に拡大
もっと詳しく知りたい方へ
ビットコインETFは投資の「入口」を広げる重要な商品ですが、ビットコインの本質的な価値である「分散型」「自己主権」といった特性を理解した上で、自分の投資目的に合った選択をすることが重要です。
2025年12月のバンク・オブ・アメリカの推奨開始は、ビットコインが「投機的資産」から「正当な投資対象」へと認識が変わる象徴的な出来事です。しかし、ETFはあくまで投資手段の一つであり、ビットコインそのものとは異なる性質を持つことを忘れないでください。
短期的な資金流出に惑わされず、機関投資家の本格参入という構造的な変化に注目することが、今後の市場を理解する鍵となります。








