
- クラーケンがSECにIPO申請を提出
- 企業評価額は200億ドル(約3.1兆円)
- 2026年第1四半期の上場を目指す
- トランプ政権下で暗号資産企業の上場ラッシュ
米国の大手暗号資産取引所クラーケンは2025年11月19日、新規株式公開(IPO)に向けた機密登録届出書を米証券取引委員会(SEC)に提出したと発表しました。企業評価額は200億ドル(約3.1兆円)に達し、2026年第1四半期の上場を目指しています。
目次
評価額は2カ月で33%上昇
クラーケンは普通株式の上場に関するS-1様式をSECに機密提出しました。株式数や価格帯などの詳細は明らかにされていませんが、IPOはSECの審査完了後、市場環境などを条件に実施される予定です。
CoinPostの報道によると、IPO申請前日の11月18日には8億ドル(約1,256億円)の資金調達を完了しています。シタデル・セキュリティーズやジェーン・ストリートなどの機関投資家が参加し、企業評価額は200億ドル(約3兆1,400億円)へと上昇しました。
- 2025年9月:150億ドル(約2兆3,550億円)
- 2025年11月:200億ドル(約3兆1,400億円)
- わずか2カ月で約33%増加
急成長する業績
クラーケンは2011年に設立され、現物取引、デリバティブ、トークン化資産、ステーキング、決済サービスなどを提供しています。
同社の財務面は急成長を続けており、2024年には6,650億ドル(約104兆円)の取引高を記録し、顧客資産は428億ドル(約6兆7,200億円)に達しました。収益面でも2024年には15億ドル(約2,355億円)を計上しています。
2025年は第1~第3四半期だけで2024年通期の収益を上回っている。
この業績改善が、IPO申請前の大型資金調達と企業評価額の上昇につながっています。
トランプ政権下で上場ラッシュ
暗号資産業界では2025年に入り、米国での新規上場が相次いでいます。ステーブルコイン発行大手のサークル、暗号資産取引所のジェミニやブリッシュなどが今年上場を果たしました。
こうした動きの背景には、トランプ政権の暗号資産に対する友好的な姿勢があります。トランプ大統領は2025年1月23日に暗号資産の成長を支援する大統領令に署名し、米国を「暗号資産の首都」にすると公約しています。また、証券取引委員会(SEC)では暗号資産に理解のある人物が要職に就き、規制環境が大きく変化しました。
中間選挙前の上場を急ぐ企業
ロイター通信によると、専門家は暗号資産企業が2026年の中間選挙前に上場を急いでいると分析しています。選挙結果次第で規制環境が変化する可能性があるため、現在の友好的な環境を活用しようとする動きが加速しているといいます。
現在の友好的な規制環境を最大限に活用するため、IPOのタイミングが重要になっている。
クラーケン以外にも、暗号資産ファンドを運営するグレースケール、デジタル資産の保管サービスを提供するビットゴーといった企業が上場準備を進めています。
クラーケンのIPO申請は、暗号資産業界の制度化が進んでいることを示す重要な動きです。トランプ政権の友好的な姿勢を背景に、多くの暗号資産企業が上場を目指しています。これは業界の成熟を意味する一方、2026年の中間選挙後に規制環境が変化するリスクも存在します。投資家は短期的な上場ラッシュだけでなく、中長期的な規制動向にも注目する必要があります。
暗号資産業界は新たなフェーズに入りつつあります。クラーケンの上場が成功すれば、さらに多くの企業がIPOを目指す可能性が高まります。




