
2025年11月14日、日本の上場企業メタプラネット(東証スタンダード)が2025年12月期第3四半期決算を発表しました。最も注目されたのは、ビットコイン保有目標30,000 BTCを達成したことです。
現在の保有量は30,823 BTC。1BTCを約1,250万円とすると、保有資産は約3,853億円に相当します。
- メタプラネットの第3四半期決算の主要数字と達成状況
- ビットコイン保有30,823 BTC、目標30,000 BTC達成の意味
- 売上高94%増の要因とビジネスモデル転換
- 日本企業のビットコイン戦略が直面する規制問題
目次
第3四半期決算のハイライト:売上94%増
メタプラネットの2025年12月期第3四半期(1-9月)の主要数字は以下の通りです:
- 売上高:前年同期比94%増
- BTC保有量:30,823 BTC(目標30,000 BTC達成)
- 1株あたりBTC:0.021 BTC(前期比210.2%増)
- 保有資産価値:約3,853億円(1BTC=1,250万円換算)
同社は2024年4月にビットコイン戦略を開始。わずか1年半で3万BTCを超える保有量を達成し、日本企業としては異例のスピードでビットコイン財務戦略を推進しています。
マイクロストラテジーを模倣:日本版BTC戦略
メタプラネットのビジネスモデルは、米国のマイクロストラテジーを模倣したものです。
株式発行や社債発行で資金を調達し、その資金でビットコインを購入。ビットコイン価格の上昇により、株価も連動して上昇するという仕組みです。
1株あたりBTC保有量が210%増:希薄化との戦い
注目すべき指標は、1株あたりのBTC保有量が前期比210.2%増となったことです。
通常、新株発行を繰り返すと「希薄化」が発生し、1株あたりの価値は下がります。しかしメタプラネットは、ビットコインの購入ペースが希薄化を上回っているため、1株あたりの価値は逆に増加しています。
これは、ビットコイン価格が上昇し続けることが前提の戦略ですが、現時点では成功していると言えます。
1株あたりBTC保有量の増加は、株主にとって直接的な価値向上を意味します。
2026年以降の目標:さらなる拡大計画
メタプラネットは今後の目標として、以下を掲げています:
- 2026年10月まで:6,847 BTC追加購入
- 2027年まで:さらに21 BTC追加(1%ずつ保有量を拡大)
- 長期目標:Phase IIプログラムで10億円規模の追加調達
CEOのサイモン・ジェロビッチ氏は、X(旧Twitter)で次のように公言しています:
我々は日本のマイクロストラテジーだ
積極的なビットコイン財務戦略を継続する姿勢を明確にしています。
日本市場の規制問題:JPX規制への懸念
しかし、メタプラネットの戦略には大きな障壁があります。それがJPX(日本取引所グループ)の上場規制です。
X(旧Twitter)では、「メタプラネットがJPX規制で上場廃止されるのでは?」という懸念の声が上がっています。
日本の上場基準では、「事業実態のない投資会社」は上場廃止の対象となる可能性があります。メタプラネットが今後もビットコイン購入に特化した事業を続ける場合、この規制に抵触するリスクがあるのです。
ブルームバーグの報道によると、JPXは暗号資産トレジャリー企業に対する規制強化を検討しており、すでに日本の上場企業3社が9月以降、暗号資産の購入計画を保留したとされています。
まとめ:日本企業のBTC戦略は成功するか?
メタプラネットの第3四半期決算は、数字上では大成功と言えます。
- 売上高94%増:ビジネス規模の急拡大
- 目標30,000 BTC達成:計画通りの進捗
- 1株あたりBTC 210%増:株主価値の向上
- 長期目標明確:2027年まで積極購入継続
しかし、この戦略には以下のリスクがあります:
- ビットコイン価格依存:下落すれば債務負担増
- JPX規制リスク:上場廃止の可能性
- 希薄化リスク:今後の新株発行で株主価値低下
日本企業がマイクロストラテジー型のビットコイン戦略を成功させられるか。メタプラネットの今後の動向は、日本の暗号資産市場全体の試金石となるでしょう。
規制環境の整備と企業の健全な成長、両方のバランスが重要です。


