
ビットコイン(BTC)が11月21日、6カ月以上ぶりの安値となる8万6,155ドルまで急落した。予想を上回る米雇用統計の発表により12月の追加利下げ観測が後退したことに加え、初期保有者による大量売却が市場に売り圧力をかけている。
- ビットコインが8.6万ドル台に急落した背景
- 初期保有者ガンデン氏による2,050億円の売却詳細
- 米雇用統計と利下げ観測の関係
- 市場への影響と清算状況
目次
4月以来の安値を記録
CNBCの報道によると、ビットコインは21日に一時8万6,155ドルまで下落し、4月21日以来の最安値を記録した。投資家がリスク資産へのエクスポージャーを引き下げ、12月の連邦準備制度理事会(FRB)による追加利下げの可能性を見極めようとする中での下落となった。
20日夜に発表された米雇用統計が予想を大幅に上回ったことで、米中央銀行が基準金利を引き下げるかどうかに疑問が生じた。9月に11万9,000人の雇用を追加し、ダウ・ジョーンズが調査したエコノミストの予想である5万人を大幅に上回った。
利下げ観測が40%に低下
この報告を受け、CMEグループのフェドウォッチ・ツールによると、12月の利下げ観測は約40%に低下した。また、恐怖指数と呼ばれる「VIX指数」は1カ月以上ぶりの高水準に達し27.15となった。
コイングラスのデータによると、ビットコインの急落によって過去24時間で22万3,664人のトレーダーが清算され、合計強制清算額(ロスカット)は1,295億円に達した。
初期保有者が2,050億円を売却
初期のビットコイン保有者による大量売却も価格下落の一因となった。アーカムは21日、2011年からビットコインを保有していたオーウェン・ガンデン氏が最後の売却を完了したと報告した。
同氏は2億3,000万ドル相当のビットコインをクラーケンに送金し、10月下旬以降の売却総額は13億ドル(2,050億円)に達した。ガンデン氏は価格が2桁から3桁だった2011年後半にビットコインの蓄積を開始した著名な初期保有者だったが、2025年を通じて段階的に売却を進めてきた。
米国株も下落
米国株も同日に下落し、前日のエヌビディア決算発表による市場全体の上昇が勢いを失った。ダウ工業株30種平均は0.84%下落し、S&P500は1.56%下落、ナスダック総合指数は2.15%下落した。
エヌビディア株は予想を上回る四半期決算と第4四半期の売上高見通しを発表後、一時5%上昇したが、21日には約3%反落。AI関連株に大きく投資しているトレーダーはビットコインなども保有する傾向があり、両者の動きは連動しやすいとされる。
今回の急落は、マクロ経済要因(利下げ観測後退)とミクロ要因(初期保有者の売却)が重なった結果です。特に2011年から保有していた初期投資家が2,050億円もの売却を完了したことは、長期保有者でさえ利益確定を選択する局面であることを示唆しています。ただし、これは市場の成熟化の一環とも捉えられ、初期投資家の売却が完了することで、今後の売り圧力が軽減される可能性もあります。








