
- ビットコインが11月19日に再び9万ドルを割り込む
- 暗号資産市場全体で時価総額1兆ドル(約157兆円)が消失
- K33が「2017年以来最悪レベルの調整」と分析
- 次の下値めどは8万5,000ドルと8万ドル
2025年11月19日、ビットコインが再び9万ドルを割り込み、一時8万8,522ドルまで下落しました。10月のピークから暗号資産市場全体で時価総額1兆ドル(約157兆円)が消失し、2017年以来最悪レベルの調整局面に入っています。
目次
4.2%下落で9万ドル割れ
CoinDesk Japanの報道によると、ビットコインは米国時間11月19日午前に4.2%下落して9万ドルを下回りました。一方、イーサリアムは6%下落して3,000ドルを割り込んでいます。
暗号資産関連株式も大きな打撃を受けており、ストラテジー、ビットメイン、サークルなどは8%から9%の下落となりました。
- ビットコイン:一時8万8,522ドル(7カ月ぶり安値)
- イーサリアム:3,000ドル割れ(6%下落)
- 暗号資産市場時価総額:約3兆2,000億ドル(10月ピークから1兆ドル減少)
- Crypto Fear and Greed Index:0.2%(極度の恐怖)
2017年以来最悪レベルの調整
Bloomberg報道によると、暗号資産全体の時価総額は10月6日に約4兆3,000億ドルでピークを迎えた後、現在は約3兆2,000億ドル前後に減少しています。この減少の多くは帳簿上の評価損ですが、10月のピークからビットコインの時価総額は約6,000億ドル(約93兆円)減少しました。
調査会社K33のVetle Lunde氏は、今回の調整を「2017年以来最悪レベル」と評価しています。10月のピークから約30%の下落となり、2017年以降で最も深刻な調整局面の一つとなっています。
10月のピークから約30%下落し、2017年以降で最も深刻な調整局面の一つ。
ETF流出が加速
Farside Investorsのデータによると、ビットコインETFからの資金流出が加速しています。5営業日で累計23億3,600万ドル(約3,670億円)が流出し、1日あたりの流出額は1億1,570万ドル(約182億円)に達しました。
さらに11月19日には、ブラックロックの主力ビットコインETF「IBIT」から1日で最大規模となる5.2億ドルが流出したとロイター通信が報じています。
機関投資家による資金流出が続いており、10月10日には約190億ドル相当の暗号資産レバレッジポジションが強制的に清算される事態が発生しました。これをきっかけに、マージンコール(追加証拠金請求)が連鎖的に発生し、市場の脆弱性が露呈しています。
次の下値めどは8万5,000ドルと8万ドル
市場関係者は、次の心理的な下値めどとして8万5,000ドルと8万ドルを意識しています。さらに、4月の関税関連の混乱期に付けた年初来安値7万4,425ドルも視野に入っています。
コインシェアーズの調査責任者ジェームズ・バターフィル氏は次のように述べています。
投資家は手探りの状態にあり、マクロ経済の方向性をつかめない中で、オンチェーン(ブロックチェーン上)の大口投資家の動向ばかりを注視して不安を強めている。
上昇を支えた二本柱が崩壊
ビットコインは今年に入って一時12万6,000ドル超まで上昇しました。米連邦準備制度理事会(FRB)による複数回の利下げ観測と機関投資家の参入拡大という「二本柱」が上昇を支えていました。
しかし、これらの期待はいずれも後退し、モメンタム投資家は撤退しています。上昇相場を前提に評価されていたデジタル資産トレジャリー(DAT)企業も深刻な打撃を受けています。
今回の下落は2017年以来最悪レベルの調整となり、市場時価総額1兆ドルが消失しました。FRBの利下げ観測後退と機関投資家の資金流出が重なり、上昇を支えた二本柱が崩壊しています。次の下値めどは8万5,000ドルと8万ドルですが、4月の年初来安値7万4,425ドルまで下落する可能性も否定できません。短期的には不安定な状況が続くと予想されますが、売りの終盤に近づいているとの見方もあります。冷静に市場動向を見極めることが重要です。
市場は依然として不安定ですが、一部では回復の兆しも見られます。今後の展開を慎重に見守る必要があります。








