ビットコイン、記録的終値達成の余韻と調整局面──市場が見つめる次の分岐点
ビットコイン(BTC)は2025年6月、月間終値として過去最高の10万7,200ドルを記録し、市場参加者に大きな期待を抱かせました。しかしその達成感も束の間、短期の利益確定売りや外部環境の変化が重なり、価格は10万6,175ドル前後へと調整局面に入りました。市場は今、記録更新の熱狂と新たな不安材料のはざまで揺れ動いています。
目次
背景:強気相場を支えた要因
今回の記録的終値は、現物ETF承認への期待、機関投資家の資金流入、そして米国株市場の底堅さが支えたものでした。特に暗号資産市場と伝統的金融市場の連動性がこれまで以上に強まっており、外部の金融情勢がビットコインの値動きに直接影響を与える構造が鮮明になっています。
現状分析:利益確定と外部リスクの影響
10万7,200ドルという節目を越えた後、短期トレーダーの利益確定売りが入り、価格は約1%下落しました。同時に、米国のテック株急落が暗号資産市場のセンチメントを冷やしました。テスラはドナルド・トランプ大統領とイーロン・マスク氏の対立が再燃した余波で午後の取引中に5.4%下落。エヌビディアも値を下げ、ナスダック総合指数は0.6%下落しました。
「米テック株の急落は暗号資産市場のセンチメントに直結しやすい。短期的な調整は健全な動きであり、強気トレンド全体を崩すものではない」
また、FRBのパウエル議長は欧州中央銀行のイベントで「利下げには忍耐が必要」との姿勢を改めて強調しました。これにより、市場の一部に広がりつつあった早期緩和期待はやや後退する形となっています。
- 6月月間終値最高値:10万7,200ドル
- 調整後の価格(7月2日朝):10万6,175ドル
- ナスダック総合指数:0.6%下落
- テスラ株:午後取引で5.4%下落
今後の注視点
市場は7月3日発表の米雇用統計に注目しています。11万人増という予想を大幅に下回る結果となれば、FRBの政策スタンスや市場心理が大きく変わる可能性があります。また、テック株の反発や現物ETF審査の進展も、次なるビットコイン相場の行方を左右する要因となるでしょう。
参考資料: CoinDesk Japan|ビットコイン、記録的な月間終値の後、10万6000ドルまで下落
記事作成日: 2025年7月2日
免責事項: 本記事は投資助言を目的としたものではありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。