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2025年──ビットコインが史上最高値を更新し続けた歴史的な1年が、今まさに終わろうとしている。
年初に1,400万円台からスタートしたビットコインは、10月には1,882万円(約12.5万ドル)という過去最高値を記録。年間上昇率は約35%に達し、2024年の勢いをさらに加速させる形となった。
この歴史的な上昇を支えたのは、米国の暗号資産政策の大転換だ。トランプ政権の規制緩和路線、イーサリアムETFの本格化、そして日本における税制改正の決定──暗号資産市場は「投機対象」から「制度化された金融商品」へと、大きな一歩を踏み出した。
目次
📅 2025年の重大ニュース TOP10
- 🎉 ビットコイン、史上最高値12.5万ドル到達──10月9日に約1,882万円を記録、年間上昇率35%
- ✅ トランプ政権、暗号資産規制を大幅緩和──SEC委員長交代、ビットコイン戦略備蓄を創設
- 📈 イーサリアムETF、年間1.3兆円の純流入──7月ローンチ後、機関投資家の関心が急拡大
- 💬 日本、暗号資産を分離課税へ──2026年度税制改正大綱で決定、最大55%→20%に
- ⚡ 米国401kで暗号資産投資が解禁──年金資金による暗号資産購入が可能に
- 🌐 ステーブルコイン規制法が成立──米国で7月に「GENIUS法」可決
- 📊 企業のビットコイン保有が加速──MicroStrategy模倣企業が続々登場
- 🏦 ビットコインETF、年間540億ドル流入──ローンチから20ヶ月で記録的な資金流入
- 🔥 米国SEC、主要訴訟を次々と取り下げ──Coinbase、Ripple訴訟など規制緩和が本格化
- 💎 イーサリアム、企業保有のトレンド化──BitMine Immersionが供給量の5%保有を目標に
出典: CRYPTO INSIGHT / Coincheck / NRI / CoinDesk JAPAN / CoinPost
📰 2025年 重大ニュース詳細

📰 重大ニュース① ビットコイン、史上最高値12.5万ドル到達──年間35%上昇の歴史的な1年
■ 1月:トランプ就任式に合わせて10.9万ドル突破
2025年は1月20日、トランプ大統領の就任式に合わせるかのように、ビットコインが10万9,225ドル(約1,693万円)を記録してスタートした。
この急騰の背景には、トランプ政権による暗号資産規制緩和への期待があった。SEC委員長にポール・アトキンス氏(規制緩和派)を指名、ビットコイン戦略備蓄の創設を表明──これらの政策転換が、機関投資家の大規模な資金流入を引き起こした。
■ 2月〜4月:Bybitハッキングとトランプ関税政策で調整局面
2月に入ると、大手取引所Bybitが約2,200億円相当の暗号資産流出被害を受け、市場は一時的に急落。さらにトランプ大統領の関税政策がインフレ再燃懸念を生み、FRBの利下げ観測が後退したことで、ビットコインは1,100万円台まで下落した。
■ 3月〜7月:戦略的ビットコイン準備金創設と回復基調
3月6日、トランプ大統領は「戦略的ビットコイン準備資産」を創設する大統領令に署名。米国政府が押収済みビットコインを売却せず備蓄する方針を示したことで、市場は「国家レベルでのビットコイン保有」が現実味を帯び、価格は下げ止まった。
4月以降はビットコインETFへの資金流入が加速。7月には60.2億ドルという記録的な月間流入額を記録し、価格は順調に回復していった。
■ 8月〜10月:史上最高値更新と「デジタルゴールド」の地位確立
8月以降、FRBの利下げ観測強化を背景にビットコインは1,700万円前後を維持。そして10月9日、遂に過去最高値となる約1,882万円(12.5万ドル)を記録した。
この上昇は、ETF経由の機関投資家参入、規制整備の進展、政治的後押しという複数の要因が重なった結果だ。ビットコインは「投機的資産」から「デジタルゴールド」としての地位を一段と固める年となった。
■ 11月〜12月:高値圏での安定と年末調整
11月には短期筋による売り圧力が強まり、価格は10万ドル付近まで下落。12月現在は9万ドル台後半で推移しており、年末調整局面にある。
しかし、年初の1,400万円台から考えれば、年間で約35%の上昇を達成した歴史的な1年だったことは間違いない。
出典: CRYPTO INSIGHT / ユニコーン / Coincheck
📰 重大ニュース② トランプ政権、暗号資産規制を大幅緩和──「米国を暗号資産の中心地に」
■ SEC委員長交代と規制方針の大転換
2025年、トランプ政権下で最も大きな変化はSEC(証券取引委員会)の方針転換だった。
バイデン政権下でSEC委員長を務めたゲーリー・ゲンスラー氏は、暗号資産を有価証券として厳しく取り締まる姿勢を貫いていた。しかしトランプ政権は1月、規制緩和派のポール・アトキンス氏を新委員長に指名。これにより、SECの暗号資産政策は180度転換した。
■ 主要訴訟の取り下げラッシュ
2月10日、SECは世界最大手の暗号資産取引所バイナンスに対する訴訟の一時停止を申請。2月27日にはCoinbaseに対する訴訟を正式に取り下げた。さらにGeminiやRobinhoodに対する調査も終了を通告した。
これらの動きは、トランプ政権が進める暗号資産への規制緩和の一環だ。3月19日にはRipple社に対する訴訟も取り下げられ、業界全体が「規制の重圧」から解放された。
■ ビットコイン戦略備蓄の創設
3月6日、トランプ大統領は「戦略的ビットコイン準備資産」を創設する大統領令に署名。米国政府が犯罪や民事訴訟で押収したビットコインを売却せず、国家の準備資産として保有することを発表した。
この時点で、米国政府は約20万枚のビットコインを保有していると報じられており、これは時価にして約3兆円規模に相当する。
■ 401kで暗号資産投資が解禁
8月7日、トランプ大統領は401k(企業型確定拠出年金)で暗号資産を含む代替資産への投資を可能にする大統領令に署名。これにより、年金資金による暗号資産購入が可能になった。
労働省、財務省、SECと連携し、加入者指図型プランがより幅広い代替資産に対応するための規制整備を進める方針だ。
■ ステーブルコイン規制法が成立
7月には「GENIUS法(ステーブルコイン規制法)」が米国で成立。決済用ステーブルコインについて、発行者を銀行子会社や事業会社に限定し、連邦当局・州当局の監督対象とすることが決定した。
裏付資産を預金や短期国債に限定し、その内訳を毎月開示することも義務付けられ、暗号資産業界に「制度的な安定性」をもたらすこととなった。
出典: NRI / SBI VCトレード / 日本総研
📰 重大ニュース③ イーサリアムETF、年間1.3兆円の純流入──機関投資家の関心が急拡大
■ 7月ローンチ、初年度で1.3兆円流入
2024年7月23日に米国で取引開始したイーサリアム現物ETFは、ローンチから1年で約1.3兆円の純流入を記録した。
当初はグレースケールのETHトラストからの継続的な売却圧力が市場に影響を与えていたが、同トラストからの大口売却が一巡すると、ブラックロックなど新規ETFへの資金シフトが進んだ。
■ 7月に過去最大の資金流入を記録
2025年7月9日、イーサリアム現物ETFの資金流入は2億1,132万ドルに急増。これは2025年に入ってから3番目に高い水準だった(最高は2月4日の3億777万ドル、2番目は6月11日の2億4,029万ドル)。
ブラックロックのETHAが1億5,862万ドルを獲得し、フィデリティのFETHが2,953万ドル、グレースケールが1,796万ドルと続いた。
■ 8月には5日間で18億ドル流入──ビットコインETFの10倍
8月21日以降の5営業日で、イーサリアムETFは18億3,000万ドルの資金流入を記録。同期間のビットコインETF流入額1億7,100万ドルの10倍以上に達した。
この爆発的な需要の背景には、7月に成立した「GENIUS法(ステーブルコイン規制法)」がある。イーサリアムはステーブルコインおよび現実資産のトークン化市場で最大シェアを誇り、制度的な後押しを受けた格好だ。
■ 累積純流入額は約47億ドル、総資産は118億ドルに
7月9日時点で、イーサリアムETFの累積純流入額は47.2億ドルに達し、純資産総額は118.4億ドルとなった。これはイーサリアム時価総額の3.58%に相当する。
■ ステーキング機能追加への期待
ブラックロックなどの運用会社は、SECとイーサリアムETFへのステーキング機能追加について協議中だ。「利回り付きETF」が誕生すれば、機関投資家の資金流入がさらに加速する可能性がある。
出典: CoinPost / SBI VCトレード / Crypto Trillion
📰 重大ニュース④ 日本、暗号資産を分離課税へ──2026年度税制改正大綱で決定
■ 最大55%→20%へ大幅引き下げ
2025年12月19日、与党は2026年度税制改正大綱を決定し、暗号資産取引を申告分離課税の対象とすると明記した。
現行の日本の税制では、暗号資産取引による所得は雑所得に分類され、総合課税の対象。給与所得などと合算され、住民税と合わせた税率は最大55%に達していた。
これに対し、株式や投資信託などは約20%の申告分離課税が適用されており、暗号資産と既存の金融商品との間にある税制の差異が長年の課題とされてきた。
今回の税制改正により、暗号資産取引の税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)へと大幅に引き下げられることとなった。
■ 3年間の繰越控除制度も創設
税制改正大綱では、損失を翌年以降に繰り越せる「3年間の繰越控除制度」も創設される。
これにより、前年に大きな損失が出た場合でも、翌年の利益と相殺できるようになる。株式投資と同様の税制が適用されることで、投資家にとって予測可能性が大きく向上する。
■ 金融商品取引法改正が前提条件
今回の分離課税化は、金融庁が進める金融商品取引法(金商法)改正を前提としている。
金融庁は暗号資産を現在の「資金決済法」による決済手段としての位置づけから、「金商法」上の金融商品へと移行させる方針を固めており、2026年の通常国会での関連法案の提出および成立が見込まれている。
■ 施行時期は2027年〜2028年見込み
税制改正大綱では、適用開始日を「金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日以後」と規定している。
仮に法改正と施行に1年ほどの時間を要した場合、新税制の開始が2028年1月までずれ込む可能性もある。最速で2027年1月、遅くとも2028年1月には施行される見通しだ。
■ 対象銘柄は「特定暗号資産」に限定
分離課税の対象となるのは、「金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産(特定暗号資産)」に限定される。
国内取引所が扱う105銘柄から政令で対象を選定する予定で、ビットコインやイーサリアムなどの主要銘柄は対象となる見込みだ。
出典: CoinDesk JAPAN / 寺田税理士事務所 / CoinPost
📰 その他の注目トピック
- 📊 ビットコインETF、累計540億ドル流入──ローンチから20ヶ月で記録的な資金流入、7月だけで60.2億ドル
- ⚡ 企業のビットコイン保有が加速──MicroStrategy模倣企業が続々登場、戦略的保有のトレンド化
- 🏦 イーサリアム版MicroStrategyが登場──BitMine Immersionが供給量の5%保有を目標に、企業のETH保有が本格化
- 💰 VanEck、イーサリアム1万ドル予測──ステーキング対応ETF上場を前提に、2025年内の達成を予想
- 🌟 米国でミームコインが「証券でない」と判断──SECが規制緩和の一環として公式見解を発表
- 📉 ソラナが高速処理能力で存在感──DEX取引高でイーサリアムを上回る日も多く、220〜230ドルで推移
出典: SBI VCトレード / CoinDesk JAPAN / Crypto Trillion
🧠 ビットコイン予備校の視点──2025年総括と2026年展望

ビットコインが10月に1,882万円(12.5万ドル)という最高値を記録したことは、単なる価格上昇以上の意味を持つ。その背景には、トランプ政権による規制緩和、日本の税制改正決定、企業による戦略的保有の拡大という、3つの制度的な裏付けがあった。
① 規制緩和──トランプ政権の暗号資産支援
SEC委員長交代で規制方針が180度転換。Coinbase、Ripple訴訟など主要訴訟が次々取り下げ。ビットコイン戦略備蓄の創設、401k解禁、ステーブルコイン規制法成立により、暗号資産の制度的地位が確立した。
② 機関投資家参入──ETF市場の本格化
ビットコインETF20ヶ月で累計540億ドル、イーサリアムETF初年度で1.3兆円流入。8月にはイーサリアムETFがビットコインの10倍の流入を記録。ゴールドマン・サックスがイーサリアムETF最大保有者に。
③ 税制改正──日本市場の転換点
最大55%→20.315%へ大幅引き下げが決定。3年間の繰越控除制度創設。金商法改正により暗号資産が「金融商品」として位置づけられ、2027年〜2028年施行見込み。
短期的な調整圧力は避けられない
10月の最高値1,882万円から、12月現在は1,300万円台まで調整している。これは利益確定売りと、年末特有の資金引き揚げによるものだ。
しかし、この調整は「健全な市場の証」でもある。急激な上昇の後には必ず調整が入る。重要なのは、この調整が「バブル崩壊」ではなく「次の上昇に向けた準備期間」だという点だ。
中長期的には歴史的な買い場が継続する
- 日本の税制改正施行──2027年〜2028年に施行されれば、国内投資家の参入が加速
- 米国ビットコイン戦略備蓄の本格化──トランプ政権が購入を開始すれば巨大な買い圧力に
- イーサリアムETFのステーキング機能追加──「利回り付きETF」誕生で機関投資家の関心がさらに拡大
- 半減期効果の継続──2024年4月の半減期から1〜2年後にピークを迎えるパターンが過去に繰り返されている
2026年の価格展望
アナリストの予測は以下の通り:
- スタンダードチャータード銀行: 2025年末20万ドル予測(当初)→ 慎重姿勢に転換
- VanEck: 2025年までに18万ドル到達と予想
- CryptoQuant: 今回のサイクルで14万6,000ドルを目標値に設定
- 第一生命経済研究所AIモデル: 2026年第1四半期に3,000万円(基本シナリオ、発生確率55%)
これらの予測に共通するのは、「中長期的な上昇トレンドは継続する」という見方だ。短期的な調整はあっても、制度的な裏付けを伴った成長が続く限り、暗号資産市場の将来は明るい。
- 短期トレーダー: 現在の調整局面は様子見が賢明。9万5,000ドル〜10万ドルのレンジ相場を想定し、レンジ下限での押し目買いを検討
- 中期投資家: 1,300万円〜1,500万円台は絶好の押し目買い場。2026年前半の上昇に向けて、段階的な買い増しを推奨
- 長期投資家: 歴史的な買い場が継続中。日本の税制改正施行を見据え、2025年〜2026年の低迷期に積極的にポジションを構築すべき
- 1月〜3月: 日本の通常国会で金商法改正案が審議・成立する見込み
- 4月〜6月: トランプ政権のビットコイン戦略備蓄が本格始動する可能性
- 7月〜9月: イーサリアムETFのステーキング機能追加が承認される可能性
- 10月〜12月: 半減期後1.5年のタイミングで過去のサイクル通りなら高値更新も
短期的なノイズに惑わされず、データと制度的な変化に基づいた冷静な判断が、2026年の上昇サイクルで成功するカギとなる。
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