本記事では、暗号通貨のオーガー(Augur)について図解します。
- 目的は「投機」か「ヘッジ」か「情報収集」か?
- 利用国の法規制を確認
- 清算ルール・参照ソースを理解
- REPトークンの用途は「報告・異議申立て」である点を誤解しない
- 公式:Augur公式サイト
- 技術文書:Augur GitBook
- ホワイトペーパー:分散型オラクルの報酬設計
- 関連トークン解説:イーサリアム(ETH)とは?
目次
Augur(オーガー)の基本概要
・用途
将来の出来事に関する市場(YES/NO、レンジ予想など)の作成・取引・清算を、中央管理者なしで実行します。
・仕組み
- 誰でもイベント市場を作成
- トレーダーが「YES/NO」シェアを売買
- 期日到来後、REP保有者(レポーター)が結果を報告
- 異議申立て(ディスプート)を経て最終確定
- 結果に応じて清算が行われ、正答者・正確なレポーターが報酬を得る
・トークン
REP(Reputation)は報告や異議申立てで使われるステーキングトークン。
2020年にREPv2へ移行しました。
・強み
- 中央管理者不要で市場作成・清算可能
- ブロックチェーンによる改ざん耐性
- 「群衆の知恵」を活かした価格形成
・留意点
- 流動性やUI/UXの改善が課題
- 参照ソース(結果確定データ)の信頼性
- 賭博・金融商品規制への適合性
[市場作成者] ──(イベント/ルール/清算日を定義)──▶ [Augur市場] │
└── 手数料設定・参照ソース(例:公式結果)の明示 [トレーダー] ──(YES/NO 等のシェア売買)──▶ [流動性プール/オーダーブック] │
期日到来・結果発表
▼
[レポーター(=REP保有者)] ──(結果を報告/異議申立てはREPをステーク)──▶ [最終解決] │
└── 正答側に報酬/誤答側はステーク減少
正確な結果報告を経済的にインセンティブ付けすることで、中央管理者に依存しない「信頼できる結果確定」を実現しています。
Augur(オーガー)の主な機能
① 市場作成の自由度
誰でもイベント(例:FOMC金利決定、選挙結果、スポーツ試合など)をスマートコントラクトとして作成可能。清算条件・参照ソースを明示して公開できます。
② 分散型オラクル機能
REP保有者が結果を報告し、異議申立てを行います。ディスプートが繰り返され、最終確定した結果が市場清算に反映されます。
③ 手数料と報酬設計
市場作成者が手数料率を設定。正確なレポート参加者へは報酬が配分されます。
トークン:REP / REPv2とは
REPは、結果報告や異議申立ての際に使用される「信頼の証」となるトークンです。取引用通貨ではなく、主にオラクル参加に用いられます。
2020年にREP→REPv2への移行が行われ、現在も取引所では「REP」表記のまま扱われる場合があります。
要点:REPは「予測市場の真実を報告するためのステークトークン」であり、短期投機よりもシステム維持のためのインセンティブとして機能します。
📊 主なユースケース
- スポーツ・政治・経済などの結果予測市場
- 天候・自然災害などをベースにした「分散型保険」モデル
- マーケットの「群衆予測」を分析するデータソース
リスクと注意点
① 規制面のリスク
国・地域によっては「賭博」または「金融商品取引」に該当する可能性があります。
日本国内ではオンライン賭博として扱われるリスクがあるため、法的助言を受けることを推奨します。
② オラクルの信頼性
結果を参照するデータソースやレポーターの誠実性が肝心。
虚偽報告にはステーク没収の仕組みで抑止しています。
③ 流動性とUXの課題
分散型ゆえに板の薄さやガス代の高さが参入障壁となるケースがあります。
▼他プロジェクトとの比較
Augur以外にも、Polymarket や Omen などの分散型予測市場が登場しています。各プロジェクトでKYC要件や清算設計が異なるため、目的に応じて比較が必要です。
まとめ
Augurは、中央集権的な管理者を持たない「分散型予測市場プロトコル」です。
REPトークンを用いた経済的インセンティブにより、正確な結果報告を実現しています。
一方で、流動性・UX・規制といった課題も残るため、利用・投資の際は目的と法的側面を明確に理解しておくことが重要です。