米国の暗号資産保有率、6年で8倍に──だが64%は「非常にリスク高い」と警戒
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ギャラップ調査に見る、個人投資家の二極化した意識
アメリカにおける暗号資産(仮想通貨)の保有率は、2018年の2%から2024年には17%へと実に8倍に増加した。しかし、依然として多くの投資家が懐疑的な目を向けている。ギャラップ社が実施した最新調査では、アメリカの投資家の64%が暗号資産を「非常にリスクが高い」と考えていることが明らかになった。
6月中旬に行われた調査では、暗号資産を保有していると答えたのはわずか14%。興味を持っていると答えたのは17%に過ぎず、今後購入予定があると答えたのはわずか4%だった。
ボラティリティと事件の記憶が個人投資家の心理に影を落とす
2021年の強気相場では暗号資産が一般にも広く知られるようになったが、その直後の「暗号資産の冬」による急落やFTX破綻の衝撃が、いまだ個人投資家の心理に重くのしかかっている。こうした過去の出来事が「価格の乱高下=高リスク」というイメージを定着させた。
一方で、機関投資家の参入や規制整備が進み、市場の信頼性は徐々に回復しつつある。だが、一般投資家の中には過去の損失を乗り越えられない層が多く残っているようだ。
人口属性でくっきり分かれる保有傾向と理解度
- 18~49歳の男性では4人に1人が保有
- 高齢者、女性、低所得層は保有率が低迷
- 大学卒・高所得者は平均以上の保有率
- 「仕組みを理解している」と答えたのは全体の35%
暗号資産について「聞いたことはある」と答えた人は多数だったが、具体的な仕組みまで理解しているとしたのはわずか3人に1人。特に知識面では、若年層と富裕層に集中していることが分かった。
「最良の長期投資」だと答えたのはわずか4%
暗号資産を保有しているアメリカ人は約7人に1人。一方で、株式や不動産を保有しているのは約10人に6人に達する。さらに、暗号資産を「長期投資に最適」と評価した人は、全体のわずか4%にとどまった。
この数字は、暗号資産が日常的な投資先として浸透するには、まだ大きな意識のギャップが存在することを意味している。
それでも広がりつつある「静かな拡大」
過去の暴落や不正事件が人々の警戒心を高めている一方で、着実に保有率は増加している。アメリカの大統領が暗号資産に肯定的な姿勢を示していることや、ETF承認、規制整備の進展も今後の追い風となる可能性がある。
投資家の理解と信頼が今後どこまで深まるか──その鍵は、教育と安定した市場環境にかかっている。
参考資料: CoinDesk JAPAN|暗号資産の保有率は2018年から8倍に急増──しかしアメリカの投資家は依然として「リスクが高い」と見ている:調査
記事作成日: 2025年7月28日