
2026年10月26日(月)〜11月1日(日)の、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)の動きをまとめた週間まとめです。
今週いちばん大きな出来事は、世界最大級の暗号資産取引所バイナンスから、約63億ドルにのぼる暗号資産が流出したと報じられたことでした。同じ10月30日にBTCもETHも大きく下がり、1週間ではBTCが約3.3%、ETHが約3.1%の下落で終わりました。
今週は、取引所の事件と値下がりが重なり、BTC・ETHとも4週続けて下がった1週間でした。
- BTCとETHの1週間の値動き
- バイナンスで何が起きたのか、利用者にとって何が大事か
- BTC・ETHそれぞれで、今週何が変わったか
- 来週、何を確認すればいいか
目次
今週の値動き
| BTC | ETH | |
|---|---|---|
| 始値 (10/26 0時) | 80,547ドル | 2,340ドル |
| 高値 | 81,890ドル (10/30 1時台) | 2,390ドル (10/29 5時台) |
| 安値 | 76,141ドル (10/31 3時台) | 2,170ドル (10/30 10時台) |
| 終値 (11/1 24時) | 77,925ドル | 2,269ドル |
| 1週間の騰落率 | −3.3% | −3.1% |
時刻はすべて日本時間。価格は米国の暗号資産取引所Coinbaseの公開データ(1時間足)から集計し、別の取引所Krakenのデータとも照合しています。
BTCは週の前半、8万ドル前後で小さく動いていましたが、10月30日に大きく下がり、この日だけで高値の81,890ドルから76,301ドルまで下げました。ETHも同じ30日に週の安値をつけています。下げ幅はBTCが約3.3%、ETHが約3.1%で、どちらも前の週(BTC約0.5%・ETH約1.4%の下落)より大きくなりました。10月5日の週から数えて、BTC・ETHとも4週続けての下落です。
なお、今週は米国と日本の中央銀行の会合もありました。米国のFRB(米国の中央銀行にあたる組織)は米国時間10月28日に政策金利を3.75〜4.00%のまま据え置き、日本銀行は10月30日に、9月の会合で引き上げた1.25%程度の金利を続けると決めました。
今週いちばん大きかった出来事:バイナンスから約63億ドルの暗号資産が流出
報道によると、日本時間10月30日の午前5時5分ごろ、バイナンスのホットウォレット(インターネットにつながった状態で暗号資産を管理する財布)が侵害され、暗号資産が外へ送られました。バイナンスは入出金を一時止め、被害の規模を約63億ドルと見積もったうえで、利用者の損失は全額を補償する方針を示したと報じられています。暗号資産の盗難として過去最大の規模と報じられており、ブロックチェーン分析会社のTRM Labsやチェイナリシスは、北朝鮮系の攻撃者によるものとみていると報じられています(バイナンス自身は、誰の仕業かを示していません)。
10月31日には、バイナンスが補償のために63億4,000万ドルを超える自社資金(約1兆円)を確保したと発表したと報じられています。出金は安全を確かめたうえで段階的に再開する方針とされています。日本でも、バイナンスジャパンがすべての暗号資産の入出庫を一時止め、ビットフライヤーはバイナンスの口座への暗号資産の送金を制限したと報じられています。
BTCは、日本時間30日の1時台に週の高値をつけた後、この事件が伝わった30日に大きく下がりました。bitbankのアナリストは、この週のBTCの下げについて、米国の大手IT企業の決算をきっかけにAIへの投資がもうかるのかという心配が広がったことに加え、30日朝のバイナンスの流出の報道で相場が一段と下げたと分析しています(CoinPost掲載の寄稿)。
今回狙われたのは取引所の財布で、BTCやETHの仕組みそのものが破られたわけではありません。取引所に預けた暗号資産は、取引所が管理しています。取引所に何かあったときに、入出金が止まったり、補償がどう扱われたりするのかは、その取引所の対応次第になります。自分の資産がどこで、誰に管理されているのかを知っておくことが大切です。
今週の値動きを読むときには、次の点にも気をつけてください。
- BTC・ETHの下げとバイナンスの事件は同じ日に重なっていますが、下がった原因を事件だけに決めることはできません。
- 流出の金額や補償の内容は、事件の直後に報じられたものです。今後の発表で変わることがあります。
BTC:今週変わったこと
① ETFは4日続けて流入した後、30日に大きな流出。週では流出に戻った
米国で売買されているビットコインの現物ETF(証券会社の口座でBTCに投資できる上場投資信託)は、今週1週間で約2.02億ドルの流出でした。前の週は3週ぶりの流入でしたが、1週で流出に戻りました。
| 米国時間 | BTC現物ETF |
|---|---|
| 10/26(月) | +1.10億ドル |
| 10/27(火) | +1.76億ドル |
| 10/28(水) | +1.37億ドル |
| 10/29(木) | +0.17億ドル |
| 10/30(金) | −6.43億ドル |
| 1週間の合計 | −2.02億ドル |
月曜から木曜までは4日続けて流入し、合計は約4.41億ドルでした。ところが、バイナンスの事件(米国東部時間では29日の午後)の後の最初の取引日にあたる10月30日(米国時間)は約6.43億ドルの流出で、6月25日以来、約4か月ぶりの大きさの流出でした。前の週の最大の流出(10月22日の約6.36億ドル)も上回っています。
週の合計だけを見ると小さな流出ですが、日ごとに見ると、4日間の流入を1日の流出が上回った週でした。大きな事件の後は、ETFのお金の流れも大きく動くことがあります。
② BTCのソフト「Bitcoin Core」に脆弱性。修正版が出ている
BTCのネットワークを支えるソフト「Bitcoin Core(ビットコイン・コア)」の開発者は、10月28日、Linux以外(Windows・macOSなど)で動かしているノード(BTCの取引記録を持ち、ネットワークを支えるコンピューター)に、深刻度「中」の脆弱性(プログラムの弱点)があったと公表しました。悪意のある相手が特殊なデータを送ると、ノードのメモリを使い果たさせて止めてしまうおそれがあるという内容です。
修正版(29.5・30.4・31.2・32.1)がすでに出ており、Linuxで動かしているノードは対象外です。CoinPostは、この弱点はAIを使った自動の点検で見つかったもので、ネットワーク全体が止まる性質のものではないと伝えています。
BTCを持っているだけの人が何かをする必要がある話ではなく、自分でノードを動かしている人が修正版に更新するための話です。BTCのソフトの弱点は、こうして見つかり、公表と修正が行われていることを知っておくと、ニュースに慌てずに済みます。
ETH:今週変わったこと
① ETFからの流出が5週続き、今週は規模も大きくなった
米国のイーサリアム現物ETFは、今週1週間で約4.31億ドルの流出でした。9月28日の週から5週続けての流出で、5週間の合計は約16.5億ドルになります。前の週(約2.21億ドル)の約2倍で、10月5日の週(約5.42億ドル)以来の大きさでした。
| 米国時間 | ETH現物ETF |
|---|---|
| 10/26(月) | −0.89億ドル |
| 10/27(火) | −0.60億ドル |
| 10/28(水) | −0.21億ドル |
| 10/29(木) | −1.06億ドル |
| 10/30(金) | −1.56億ドル |
| 1週間の合計 | −4.31億ドル |
BTCのETFが週の前半に流入だったのに対し、ETHのETFは5日すべてが流出でした。BTCのETFと同じく、10月30日の流出がいちばん大きくなっています。
ETHのETFは、流出の規模が2週続けて小さくなっていましたが、今週は再び大きくなりました。流れが変わったかどうかは、1週だけでなく、何週か続けて見ると分かりやすくなります。
② 大型アップデート「Glamsterdam」の試験は延期のまま、新しい日程は未定
イーサリアムの次の大型アップデート「Glamsterdam(グラムステルダム)」は、試験用のネットワーク(Hoodi)で、日本時間10月27日に動かす予定でした。しかし、イーサリアム財団は10月22日に、この試験を延期すると発表し、今週も新しい日程は決まっていません。延期の理由は、変更の一つ(EIP-8037)が、本番のネットワークにある既存のプログラムにどう影響するかを、さらに調べるためとされています。
Glamsterdamには、ソフトが複数の処理を同時に進められるようにする仕組みなどが含まれていると報じられています。本番のネットワークへ導入する日も、まだ決まっていません。
大型のアップデートは、試験用のネットワークで確かめてから本番へ進みます。試験の延期は、問題がないかを調べ直すための手順の一つです。本番の日程が決まったかどうかを、区切りとして見ておくとよいでしょう。
来週確認すること
- 11月3日(米国時間):米国の中間選挙
米国の議会の議員を選ぶ選挙です。bitbankのアナリストが、来週の注目の一つに挙げています。結果は各報道機関のニュースで確認できます。 - 11月6日(金):米国の10月の雇用統計
米国の雇用の状況を示す統計です。bitbankのアナリストは来週の注目に挙げ、雇用が底堅いか、減速しているかによって、金利の先行きの見方が変わる可能性があるとみています。結果は各報道機関のニュースで確認できます。 - 毎日:ETFのお金の流れ(BTC・ETHとも)
BTCは週で流出に戻り、ETHは5週続けて流出しました。30日の大きな流出が続くのか、流入に戻るのかを確認します。Farside Investorsのサイトで、米国の営業日ごとの数字を見られます。
- バイナンスから約63億ドルの暗号資産が流出したと報じられ、バイナンスは全額を補償する方針を示した
- BTCは1週間で約3.3%、ETHは約3.1%の下落で、どちらも4週続けての下落
- ETFは、BTCが30日の大きな流出で週でも流出、ETHは5週続けて流出(規模も拡大)
- Bitcoin Coreの脆弱性が公表され、修正版が出ている。Glamsterdamの試験は延期のまま
- 来週は、米国の中間選挙(3日)と雇用統計(6日)を確認
出典
- 価格:Coinbase Exchange 公開API(BTC-USD)、同(ETH-USD)、照合用に Kraken 公開API。前の週までの騰落率は、同じデータから集計した過去の週間まとめの値
- バイナンスの流出:CoinPost(2026年10月30日)、CoinPost(2026年10月31日、流出の時刻)、Al Jazeera(2026年10月30日)
- バイナンスの補償資金の確保:CoinPost(2026年10月31日)
- バイナンスジャパン・ビットフライヤーの対応:CoinPost(2026年10月30日)
- 今週の値動きの分析と来週の予定:CoinPost(bitbankアナリスト寄稿、2026年11月1日)
- FRBの決定:Federal Reserve 発表文(2026年10月28日)
- 日本銀行の決定:日本銀行 公表文(2026年10月30日)、同(2026年9月18日)
- ETFの資金流出入:Farside Investors(BTC)、Farside Investors(ETH)(前の週までの合計と、流出の大きさの比較は、同サイトの全期間データから集計。表の日ごとの数字は四捨五入しているため、足し合わせると合計と少しずれることがあります)
- Bitcoin Coreの脆弱性:Bitcoin Core の公表(2026年10月28日)、CoinPost(2026年10月30日)
- Glamsterdamの試験の延期:イーサリアム財団(2026年10月22日)、同(2026年10月16日)、CoinPost(2026年10月21日)
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