ミサキの0からクリプト|第1話

ビットコイン予備校の運営者兼相談役。プロフィールの続きを見る
Web事業運営とクリプト実務を経験し、目立つ数字や高利回りを先に見て出口確認が遅れた自身の失敗を、初心者に繰り返させないために相談に乗っている。答えを急がせず、ミサキが自分で確認質問を作れるように、順番を整えることを大事にしている。

資産運用を学び始めた会社員。プロフィールの続きを見る
NISAなどはすでに始めているが、暗号資産は未購入・未経験。分からないことをそのまま質問できる一方、大きな数字を先に比較してしまう癖がある。塾長とは初心者向けの勉強会で知り合って数か月になる。
第0話で「ビットコインって、結局何なんですか?」という問いにたどり着いたミサキが、その日から間を置かず、塾長にそのまま確認しに来た場面です。
上限のある「お金」なんて、聞いたことがない。ミサキが抱いたその違和感から、二人の会話が始まります。

初秋の週末、いつもの公園のベンチ。塾長は缶コーヒーを片手に、隣にミサキが座るのを待っていた。
ミサキは腰を下ろすなり、スマートフォンの画面を塾長に向けた。
ミサキ塾長、見てください。『ビットコインは発行できる枚数に上限がある』って書いてあるんです。……お金なのに、上限なんてあるんですか?
塾長ああ、それは本当だ。それで、今日はそこから聞きたいのか
ミサキはい。というか、その前に聞きそびれてて。ビットコインって、円やドルをデジタルにしたもの、ですよね?
塾長は缶コーヒーを一口飲んで、少し間を置いた。
塾長円やドルは、誰が作ってる?
ミサキえ……日本銀行とか、政府、ですよね
塾長そう。じゃあビットコインは、どこの銀行が作ってる?
ミサキは答えようとして、止まった。
ミサキ……知らないです。というか、考えたことなかったです
塾長それでいい。ビットコインには、発行する銀行も、管理する会社もない
ミサキえ、じゃあ誰が管理してるんですか。誰もいなかったら、勝手に増やされたりしないんですか
塾長そこを、今日は確認しよう
通りかかった散歩中の犬が、ベンチのそばで一度だけ足を止め、また歩いていった。
目次
誰も管理していないのに、なぜ増やせないのか
・ビットコインには発行する銀行や会社がないこと
・取引の記録は「ブロックチェーン」という形で参加者どうしが持ち合っていること
・発行上限があらかじめ仕組みに組み込まれていること
円やドルは、日本銀行やアメリカの中央銀行のような「発行する場所」が一つに決まっている。だからこそ、その銀行の判断で発行量を調整できる。
ビットコインには、その役目をする銀行や会社が存在しない。代わりに、世界中のたくさんのコンピューターが、同じ取引の記録を分担して持ち合っている。この記録のことを「ブロックチェーン」と呼ぶ。
新しい取引が本物かどうかは、一つの管理者が判断するのではなく、この記録を持つ参加者たちが、決まった手順に沿って確認し合う。誰か一人が記録をこっそり書き換えても、他の参加者が持つ記録と食い違うため、その書き換えは通らない。
そして、ビットコインの仕組みそのものに、「全部でこれ以上は発行しない」という上限があらかじめ組み込まれている。管理者がいないから増やせない、のではなく、管理者を置かない代わりに、増やせない上限を仕組みの中に固定している。
ミサキじゃあ、上限が決まってるだけで、なんで値段がつくんですか?
塾長それは、上限が決まっていて、勝手に書き換えられない記録だと、多くの人が認めて、実際に取引しているからだ。国の後ろ盾がある円やドルとは、価値の裏付け方が違う
ミサキ後ろ盾がないのに、みんなが価値があるって認めてるから、価値がある……
ミサキはそこで一度止まり、自分の言葉で続けた。
ミサキなんか、ふわっとしてますね。でも、円だって『日本円だから安心』ってみんなが思ってるから使えてるだけ、って考えると、似てるのかも
塾長そこに気づけたなら、今日はそれで十分だ
ミサキはスマートフォンをしまい、少し考えてから顔を上げた。
ミサキじゃあ、この上限が決まってて誰も管理してないビットコインって、実際どこで、どうやって手に入れるんですか?
塾長それは、次回話そう
ビットコインはどこでどう買うか
次は、秋の夜、自宅にて。ミサキが実際に取引所を調べ始めた場面から、何を確認してから選べばいいのかを、塾長と一緒に確かめます。








