ミサキの0からクリプト|第14話
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ビットコイン予備校の運営者兼相談役。
Web事業運営とクリプト実務を経験し、目立つ数字や高利回りを先に見て出口確認が遅れた自身の失敗を、初心者に繰り返させないために相談に乗っている。答えを急がせず、ミサキが自分で確認質問を作れるように、順番を整えることを大事にしている。
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資産運用を学び始めた会社員。
NISAなどはすでに始めているが、暗号資産は未購入・未経験。分からないことをそのまま質問できる一方、大きな数字を先に比較してしまう癖がある。塾長とは初心者向けの勉強会で知り合って数か月になる。
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画面を押すと閉じます第13話で、母が銀行ですすめられた投資信託の書類の写真から、投資信託を「みんなのお金を集めて、プロがまとめて買う」詰め合わせだと言い換えたミサキ。その翌日、写真の中の手数料の欄を、自分で計算してみる回です。
「じゃあ、母の通帳を見ても、出てこないんだ」。二つの手数料を数えたミサキは、一つが箱の中から払われていると知ります。

晩秋の月曜の昼休み。会社の近くの公園のベンチに、黄色い葉が落ちている。
ミサキはお弁当を膝の横に置いたまま、スマートフォンの電卓をたたいていた。
ミサキ塾長、昼休みにすみません。
実家で撮った母の書類の写真にあった、「手続・手数料等」のページを計算してみました
ミサキ母がいくら買ったかは聞いていないので、仮に100万円分を買ったとして。
買うときの手数料が3%だから、3万円
ミサキもう一つの欄は「年1.5%」で、1万5千円。
……毎年って、どうやって払うんでしょう。
母の通帳を見れば、引き落としが載ってるかな
塾長計算は合ってる。
払い方は、一緒に確かめよう。
業界団体の資産運用業協会に、費用の一覧がある
塾長から、資産運用業協会の「投資信託のコスト」のページのリンクが届いた。費用ごとに「支払い方法(直接・間接)」の欄がある。購入時手数料は「直接支払います。」。運用管理費用(信託報酬)は「投資信託の信託財産から間接的に支払われます。」。
ミサキ買うときは「直接」で、毎年の方は「間接的に」。
「間接的に」で止まりました。
どういう意味ですか
塾長そこは、いま読んでいて同じところで止まった。
ページの上の方に、運用している間は「信託財産から」信託報酬が差し引かれる、とある
ミサキ信託財産って、みんなから集めて一つにまとめたお金ですよね。
昨日の詰め合わせで言うと、箱の中のお金
塾長そう読んでいいと思う。
一人ひとりが財布から出すんじゃなくて、箱の中のお金から払われる
ミサキ……箱の中から払うなら。
じゃあ、母の通帳を見ても、出てこないんだ
塾長たぶん、そうなる。
率の方は、写真のそのページに書いてあるとおりだ
ミサキ母は、毎年の分を払っているって、知ってるのかな。
聞く前に、もう少し書類を見てみます
ミサキはお弁当のふたを開けた。電卓の画面には、まだ「15,000」が残っている。
もう一度、母の書類の写真をめくる。毎月届く分配金のお知らせには、分配金の額が並んでいた。それなのに、去年のお知らせと見比べると、母の持っている分の金額は小さくなっていた。
手数料だけで、こんなに減るものだろうか。
目次
毎年の手数料(信託報酬)は、投資信託の財産の中から払われる
・投資信託の二つの主な手数料と、その払い方の違い
・「年1.5%」の信託報酬が、どこから、どう払われるか
・何年持つと、手数料の合計がいくらになるかの目安
資産運用業協会(2026年4月に投資信託協会と日本投資顧問業協会が統合してできた団体)の「投資信託のコスト」のページでは、費用ごとに払う時期と払い方が書かれている。ミサキの母の説明書にあった二つの欄は、次の二つにあたる。
- 購入時手数料:買うときに、販売会社(銀行・証券会社など)に払う。払い方は「直接」。申込価額の数%で、この費用がない商品もある。
- 運用管理費用(信託報酬):持っている間に払う。払い方は「間接」で、信託財産から差し引かれる。運用会社・販売会社・信託銀行の3者で分けられる。
信託財産は、投資家から集めて一つにまとめ、信託銀行が保管しているお金だ。信託報酬は、一人ひとりが自分で払うのではなく、その信託財産の中から間接的に支払われる。買うときに自分で直接払う購入時手数料とは、払い方が違う。
ミサキが引っかかった「毎年」も、出典の書き方で解ける。信託報酬は「年率でいくら」と目論見書などに書かれるが、実際には、持っている間、保有額に応じて日々払う費用だ。「年1.5%」は1年分の率で、年に1回まとめて払う金額ではない。
このほか、監査報酬・売買委託手数料なども信託財産から差し引かれ、換金するときに信託財産留保額がかかる商品もある。どんな費用がかかるかは、目論見書などで確かめられる。
ここからは目安の計算だ。実際の保有額は、基準価額(投資信託の一口あたりの値段)の値動きで変わり、信託報酬も保有額に応じてかかるので、実際の金額はこの計算とは違ってくる。そのうえで、ミサキと同じ仮の数字にする。100万円分を買い、購入時手数料3%(3万円)は、その100万円分とは別に払う。信託報酬は年1.5%で、保有額は100万円のまま続くとする(消費税などは考えない)。
- 1年持つと:3万円+1万5千円=4万5千円
- 3年持つと:3万円+4万5千円=7万5千円
- 5年持つと:3万円+7万5千円=10万5千円
- 10年持つと:3万円+15万円=18万円
購入時手数料は買うときの1回きりだが、信託報酬は持っている年数だけ重なる。この例では、3年持つと信託報酬の合計(4万5千円)が購入時手数料(3万円)を超える。長く持つほど、合計の中で毎年の手数料の割合が大きくなる。率は商品ごとに違うので、自分の目論見書の数字で計算し直したい。
ミサキ、毎月分配に首をかしげる
次は、晩秋の予備校の学習スペース。母の書類の写真を持って、ミサキが塾長と向かい合います。
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